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41話・五宝家の分裂


「サーファリアスさま?」

「私はこれからまた宮殿に戻らなくてはなりません。あなたを見送ることが出来ない。でも私はこの地からあなたの無事を祈っております。これをもらって頂けますか?」


 サーファリアスは胸元のポケットから指輪を取り出し、わたしの右手の薬指に嵌めた。丸い琥珀色の指輪で中に蝶の文様が刻まれている。指輪はぴったり私の指にはまった。


「これって……?」

「アンバー家の紋章です。あなたに持っていて欲しい」

「わたしでいいのですか?」


 思わず確認をしてしまった。サーファリアスはまだジェーン嬢に心を残していると思っていたから。


「あなたでなければ意味が無い」

「嬉しい……」


 感極まって涙が溢れてきた。男性から指輪を贈られるというのはこの世界でも求婚を意味しているのだ。まさかサーファリアスにもらえるなんて夢にも思わなかった。


「夢みたい」

「夢では無いですよ。我が姫」


 両手で頬を押さえていると、立ち上がった彼は指輪を嵌めた方の手を取りその掌に口づけを落とした。


「必ず無事でいて下さい。こちらの情勢が落ち着いたら迎えに行きます」

「はい。お待ちしています」


 見上げた先にサーファリアスの整った顔があって、わたしの唇に長い人差し指が触れていた。


「今度お会いした時にはここに」

「サーファリアスさま」


 見つめ合う二人の仲を裂いたのは宮殿から送られてきた使者の切羽詰まった声だった。


「宰相閣下! 失礼致します。至急お戻りをっ」






 翌日。夜も明けないうちに屋敷から出ることになった。慌ただしい出立に宮殿では困難に見舞われているような気がしてならない。妙な胸騒ぎがして胸元を押さえているとサンドラがあなたも少しは事情を知っておいた方がいいと思うからと言って話してくれたことは想像の域を超えていた。


 ここ数ヶ月、最近地方で何度か暴動が起きていて王都にそこから逃げ出してきた人達が押し寄せて来るようになっていたと言う。

 その対応にサーファリアスは追われ帰宅が遅くなっていたところに謀反が起きた。ルイ陛下の治世を良く思わずシーグリーン侯爵とルビーレッド家が手を結んだのだという。


「シーグリーン家とルビーレッド家と言えば五宝家の? 貴族社会のトップに立つ五大家が分裂しているの?」


 信じられない話だ。建国から五宝家は王家を守る盾として存在してきた。その五宝家のうち二家が裏切った?


「残念ながらそうみたい。あちらは教皇を味方に付けて反旗を翻したようよ」

「なぜ教皇様が? 教皇様はルイ陛下の後見をしていらっしゃったのよね?」

「ルイ陛下には疑惑があったの。先王の子ではないのではないかと」

「そんな馬鹿な。言いがかりでしょう?」


 何をもって陛下を貶めようとしているのか分からないが、その企みに教皇様が加わっているのだとしたら陛下の足下が危ういような気がする。

 そしてサーファリアスはきっと対抗政略と今まで戦って来たのだと思うと何も出来ない自分が悔しかった。


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