インターミッション 1
えー。
どうも、初めまして。
私は――そうですね。《管理者》と名乗っておきましょう。第四の壁を超えてはいますが、筆者とは別人格です。
この世界については、今後も物語の中で語られていくと思うのですが、ヴァルトくんは「最低限の常識」を最初から持っているため、その範疇内の知識については作中で説明されることのないまま進行していく可能性が高いんですね。
というわけで、幕間を利用してわたくし《管理者》が、この世界のことについて語っていってしまおうと、そんなように考えている次第であります。
なお、この幕間は物語の進行とはあまり関係がないので、興味がなかったら飛ばして下さっても概ね問題ありません。
さて、初回の今回は暦と時間についてお話させていただこうと思います。
この世界の、太陽や月などの主要な天体やその動きはなぜか地球とほぼ同じで、ヴァルトくんのいるところは北緯四十五度~五十度くらいの地域に相当します。
この国では、昔の地球人類と同様、日の出と日没で昼と夜を分けて、昼と夜のセットを一日としています。そして、キリスト教もないのに七日で一週間です。それぞれの曜日には順番に、
太陽の日
月の日
テュールの日
ヴォータンの日
ソーの日
フリッグの日
サターンの日(「サタン」ではありません)
という名前がつけられています。テュール、ヴォータン、ソー、フリッグ、サターンはこの国のそれぞれ南、北、東、西、中央を守護するとされる龍神の名前です。これら龍神は実在するという人としないという人に分かれており、特にサターンは実在が怪しまれています。これらの龍神は五龍教と呼ばれる信仰の対象でもあり、主に人間以外に信仰されています。
また、月、年については地球の太陽暦とほぼ同様です。各月に固有の名前はついていません。人々は「一の月」「二の月」のように呼んでいます。
時間についてですが、昼と夜をそれぞれ十二分割し、その一つ分を一時間としています。したがって、季節によって昼と夜で一時間の長さが異なり、例えば夏は昼の一時間が夜の一時間よりも長いです。一時間を六十分割したものが分、さらに六十分割したものが秒ですが、当然その長さも一定していません。精密な時計もないため、生活内で分単位の時間が厳密に運用されることはほとんどなく、「五分くらい」のような大雑把な運用をされています。秒は短すぎるためあまり生活では使われていませんが、「ニ秒で済む」などのように短時間を表す表現に用いられることが多いです。
今回はこんなところですね。今後も時折この世界のことを語っていこうと思うので、よろしくおねがいします。
次回からは次節の幕が開きます。ぜひ、ヴァルトくんの旅の記録をお楽しみください。