終わりで、別の物語への始まり
「アカン!」
「やめろ!」
「お姉ちゃんのお家やゾ!」
「お姉ちゃん、どこにも行かれへんねや!」
ボクは泣いて叫んで暴れて、「危ないやないかッ坊主ッッ!!!!」と逞しい工事のオジサンに引きずり出された。
スグにプラスチックのバーを乗り越え、また引きずり出される。
キチンとした作業着の若いオジサンが、ボクの目の高さまでしゃがんでくれて、危ないということを、コンコンとボクに説く。
ボクは若いオジサンがちゃんと向き合ってくれる良いオトナだとは理解できるけど、どう説明したらいいのかわからなくて、まっすぐ目を見ながら泣き続ける。
オジサンが背を向けて、ボクがオジサンをすり抜けて現場に入り込もうとした時、ボクは後ろから抱きしめられた。
細いけど、柔らかな腕の感触。
その手をほどいて振り向くと、お姉さんが心配そうにボクを見て立っていた。
また姿を見せてくれたお姉さんは、周りのオトナには見えていないようだった。
ボクはお姉さんにボクの家に来るように言い、困った顔のお姉さんに「来るの!家に来るのッ!」と、大人が子どもを激しく叱るようにヒステリックな口調で叫んだ。
だから、マキ姉は、ボクの家にいる。
今も。
さっきから、ボクが何をしてるのか気にしている。
ボクが中学生になってからは、スマホはのぞかない約束なので、不満そうな顔で、アウトスタイルのボクサーみたいにボクの周りを回っている。
でも、まだ、教えてやらない。
マキ姉と暮らし始めてから、ボクらは、『感情や意図がオーラのような光で見える』という時生お兄ちゃんと友だちになった。
ボクの周りをクルクルと漂う感情の光が、気になっていたそうだ。
その時生お兄ちゃんが、『離れた所から、人を空き缶を潰すように潰す』おじさんを見つけてしまって、ボクらと、いろんな人たちで、街を守る冒険をすることになるんだけど、それはまた、別の機会に……。
マキ姉がスネちゃう前に、構ってあげないと……。
≪終わり で、別の物語の始まり≫