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未紗2
少女の名前は未紗
都心部から少し離れたベッドタウン。
新築の戸建てが並ぶちいさな街で
育った。
町内を一周できる遊歩道があり
開発で山を開いた地形から
一周するにも坂を上ったり下ったりする。
未紗はその一番大きな坂の上の
白い家に住んでいた。
愛犬のトロルは白いサラサラした毛並みの
雑種だが、見た目からはとても
捨て犬とは思えないほど高尚に見えた。
捨てられていたところを未紗が拾ってきたのだが
あまりにも強固な姿勢に両親も根負けし
4年前から家族の一員に加わったのだ。
未紗は今まさに飼い犬を連れて
朝の恒例の「散歩」に出かけたのだった。
大きな目にとおった鼻筋
ショートヘアで色白ではないが、
小学六年生ともなれば外見の
女性らしさが増し、更にトロルを連れて歩くと
さらに容姿が際立って見えた。
そんな未紗が頬を染めて出かけた散歩は
坂道を下りきった川のほとりで
かけていた足取りがゆるんだ。
彼女の「散歩」の行き先が近づいたのだった。