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未紗
朝の冷たくて静かな空気を切るように
少女がかけていく。
年の頃は小学生、中学生にも見えようか。
短い髪、マフラーを首に巻き
手袋をして、その手には白い犬を
繋いだリードを握りしめていた。
犬も足元で時折少女の顔を見上げながら
タッタッタとリズミカルに
まるで弾むように進んでいく。
若々しさに溢れ目が輝いているのがわかる。
寒さのせいなのだろうか
頬は赤く染まっていた。
ごく日常の犬の散歩の風景に見える。
だが、この後の彼女の行き先を
予測できるものなど誰もいなかっただろう。