↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強のキョウダイ  作者: ジータ
第二章
155/309

第153話 新たなる壁

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 ユニコーン。それは伝承にも出てくるほどに有名な魔物の一種だ。リリアの戦ったカイザーコングやアースドラゴンを超えるS級の魔物だ。

 B級とA級の魔物に大きな隔たりがあるのと同じように、A級とS級には天と地ほどの差がある。S級の魔物はたった一体でも天災と比較されるほどだ。

 ユニコーンはそんなS級の中にあってさらに希少な、人間に対しての害意を持たない魔物だ。人間嫌いではあるが、気に入った人間がいれば手を貸してくれることもある。ユニコーンに救われたという逸話を持つ人も存在する。最もその逸話を持つのはいずれも美しい処女の女性だけなのだが。


「ユニコーンってホントにこんな感じなんだ……」


 眼の前にいるユニコーンがあまりにも聞いたことのある話と同じだったので、思わず感心しているリリア。


『それで人間、改めて聞くが……貴様はなぜこの森にやって来たんだ? 様子を見るに他の冒険者共のように薬草を取りに来たというわけでもあるまい』

「人間って……私にはリリアっていう名前があります」

『知るか。この場においてタマナ以外に覚える必要のある名などない。ましてやこの私が紛い物の名を覚える理由などないからな』

「さっきから紛い物紛い物って……なんなんですか」

『ふむ……タマナよ。私は喉が渇いた。水を汲んできてはくれないか?』

「え、あ、はい。わかりました」


 ユニコーンに支持されて水を汲みに行くタマナ。しかし、この森は魔物の多く生息している森。タマナ一人では危ないと言わざるを得ない。


「ちょっと、タマナさん一人じゃ」

『案ずるな。この私がこの場にいるのだ。ほとんどの魔物は危険を感じて身を隠しているさ。ましてや、タマナには私の匂いをつけておいたからな。手を出せる存在がこの森にいようはずもない。それよりも、貴様のためにタマナを遠くへやったのだ。感謝してひれ伏せ』

「はぁ?」

『人間、貴様男だろ』

「っ!?」

『その反応……やはりそうか』

「何を根拠にそんなことを……」

『ふん、世の人間を欺くことはできれども……この私の、ユニコーン種の中でもさらにその心眼を鍛え上げ磨き上げた私の【処女真眼】を欺くことができると思うなよ! 肉体を偽ろうと心までは偽れぬのだ!』

「…………」


 自信満々に何を言っているのだこいつは、と思わず頬を引きつらせるリリア。しかも言っていることは間違っていないのが腹が立つ。


『肉体は確かに処女……しかしその精神には男という不純物が混ざっている。ならば私は貴様を処女などと認めるものかぁああ!! この詐欺女め!!』

「そんなこと知るかぁっ!」


 くわっと目を見開いて叫ぶユニコーンにリリアもとうとう耐え切れずに言い返す。先ほどまで感じていた厳かさや幻想的な雰囲気もすでにどこかへ吹き飛んでいた。


『もし貴様の真実をタマナが知らなかったら傷つけてしまうかもしれないと思ったからな。私は気に入った処女には優しいのだ』

「処女発言は余計でしょうに……でもまぁ、確かに」


 タマナはリリアの前世のことを知らない。知っているのは現状リオンだけだ。タマナにならば話しても……と思ったりはするものの、さすがにまだその勇気は無かった。


『まぁとにかくだ。それが私が貴様を紛い物呼ばわりする理由で、貴様のことが嫌いな理由だ。さぁ、私は理由を話したのだ。今度は貴様が理由を話せ。なぜあのカイザーコングやアースドラゴンと戦うことになったのだ?』

「……まぁ別に隠してるわけじゃないからいいけど。私がカイザーコングやアースドラゴンと戦ってたのは——」


 そしてリリアはこの森にやって来た理由、そしてアースドラゴン、カイザーコングと戦うことになった経緯を話す。話していくごとにユニコーンの表情が馬鹿を見る目に変わっていく。


『なるほど……人間、お前は馬鹿なんだな』

「な、バカなんかじゃ……」

『人間の身でカイザーコングに挑もうとする時点で十分に馬鹿だ。死にかけていたということを忘れているだろう貴様。直前のことまで忘れるとは貴様の脳みそは鳥並みだな』

「なっ、ぐっ……」


 言い返したいリリアだったが、ユニコーンの言っていることもあながち間違っていないためにそれもできない。


『わざわざ修行にこの森を選ぶとは……命知らずの冒険者でももっとマシな場所を選ぶぞ。確かにある程度の実力はあるようだが……愚かであると言わざるを得ない』

「余計なお世話よ」

『貴様が犬死するだけならいいが、貴様の無謀にタマナも巻き込まれているのだ。そのことを忘れるなよ』

「…………」

『しかしまぁ、手遅れといえば手遅れか。アースドラゴンはもう貴様の匂いを覚えたようだしな』

「匂い? どういうこと?」

『知らないのか? アースドラゴンは狩りの際に相手の匂いを覚える。そしてどこまでも……地の果てまでも追いかけて狩るのだ。奴らは一度覚えた匂いを決して忘れない。あのアースドラゴンはどうやら貴様に狙いを定めたようだからかな。もう逃げようが隠れようが、あのアースドラゴンはどこまでも貴様を追い続けるだろう』

「じゃあもしこのまま街に帰ったら……」

『もちろん奴も街までついて行くだろう。貴様を探してな』


 ユニコーンの言葉に愕然とするリリア。アースドラゴンのそんな生態は全く知られはいないからだ。もしユニコーンの言ったことが真実であればリリアはこのまま王都に帰ることはできない。もし万が一にでも王都までアースドラゴンがついてきてしまった場合、どれほどの被害が出るかわからないからだ。


「つまり……私に残された道は、アースドラゴンを倒すか、アースドラゴンに倒されるか……それしかないってこと?」

『そういうことになるな』


 カイザーコングという壁を乗り越えたリリア。しかし、そんなリリアの前に今度はアースドラゴンという巨大な壁が立ちはだかることになるのだった。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&コメントしていただけると私の励みになります!

Twitterのフォローなんかもしてくれると嬉しいです。

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は11月5日21時を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。