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最強のキョウダイ  作者: ジータ
第二章
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第148話 限界を超える戦い

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 まず最初にリリアに向けて飛んできたのはカイザーコングだった。持ち前の俊敏さを生かし、木を使って縦横無尽に動き回りながらリリアと距離を一瞬で詰める。そしてリリアの頭めがけて木のように太い腕を振り下ろす。

 カイザーコングの動きに注意していたリリアはその攻撃を避けることに成功はしたが、数瞬前まで立っていた場所が無残に陥没するのを見て冷や汗を流す。カイザーコングの持つ破壊力は今のリリアが持つ技や駆け引きでどうにかなる次元ではなかった。


「A級の魔物っていうのは本当にシャレにならないわね」


 しかしカイザーコングはアースドラゴンと違い、硬すぎるということはない。頑丈ではあるが、リリアの攻撃が通らないというほどではないのだ。しかも今のカイザーコングはアースドラゴンとの戦いですでに傷ついている。リリアに勝機があるとすればそこなのだ。


「アースドラゴンが完全に復活する前に。カイザーコングを倒す」


 少しずつであるが動き出しているアースドラゴン。あの様子では復活するまでの時間はそうかからないと踏んだリリアはカイザーコングとは短期決戦をすることを決意する。時間をかけていればアースドラゴンとカイザーコングに挟み撃ちにされる。それはもう最悪中の最悪だ。完全にリリアは勝機を失うだろう。

 覚悟を決めたリリアはカイザーコングから離れるのではなく、あえて懐に飛び込む。まさかリリアが向かって来るとは思っていなかったのか、一瞬反応が遅れるカイザーコングだったが、来たのなら潰すまでだと思い直し殴りかかって来る。

 カイザーコングの剛腕が唸りを上げながらリリアの眼前に迫る。しかしリリアは飛び退くのではなく、最小限の動きだけで攻撃を避けた。顔の真横を通る腕。もし少しでも掠ればリリアの顔は破砕していただろう。離れろと警鐘を鳴らす本能を無視して、これ以上ないほどに早鐘を打つ心臓を押さえつけてリリアが挑む真っ向勝負。

 『姉力』で強化した身体能力でカイザーコングに連撃を加える。カイザーコングが一度攻撃する間に、リリアは二度、三度とカイザーコングに攻撃する。

 命のかかった極限状態がリリアの動きの無駄を減らしていく。同じ場所だけを狙って攻撃を続けるリリア。

 対するカイザーコングは、何度攻撃してもいなくならない邪魔な『敵』の存在に苛立ちを募らせる。自慢の破壊力を備えた攻撃は当たらず、逆に相手に攻撃を許してばかり。しかし引くことはカイザーコングの誇りが許さなかった。


「グルラァアアアアアアッッ!!」


 ひときわ高く咆哮するカイザーコング。リリアがハッとした表情をするが、もう遅いとカイザーコングは魔力を両腕に集中させ、振り下ろす。周囲一帯ごと破壊するかのような一撃。カイザーコングを中心に半径五メートルが陥没する。カイザーコングは巻き上がる土煙の中、ニヤリと笑う。

 今の一撃で潰したはずだと確信しているからだ。今までこの攻撃を放って生きていた生物とカイザーコングは出会ったことがないのだから。

 しかし、勝利の笑みを浮かべていたカイザーコングは次の瞬間にその笑みを崩される。


「はぁああああああっ!」


 巻き上がる土煙を吹き飛ばしながらカイザーコングに再び肉薄するリリア。リリアは紙一重でカイザーコングの攻撃を避けていた。もちろん無傷ではいられなかった。飛び散った石や破壊の余波だけでもリリアの体は傷ついていた。しかしこれまでで一番と言っていいほどにリリアは自分の体が軽いと感じていた。

 使うのに集中力を必要としていた『姉力』が魔力と同じように意識的に操作できる。腕や足への『姉力』の移動も容易くできる。

 足に『姉力』を集中させたリリアはカイザーコングの側頭部に渾身の蹴りを叩き込む。

リリアの何倍もあるカイザーコングの巨体が吹き飛んでいく。


「はぁはぁはぁ……」


 荒い息を吐いてその場に膝をつくリリア。しかし視線はカイザーコングの飛んでいった方向から逸らさない。


(確かな手ごたえはあった。あそこへの一撃なら頑丈なカイザーコングでも通ったはず。でも……まだ油断はできない)


 リリアが追撃をしなかったのは、単純に一呼吸置く間が欲しかったということもあるが、下手に追撃をして強烈なカウンターを食らうのを恐れたからだ。リリアもカイザーコングも満身創痍。油断すればそれは死を招く。


「グルアァアアアアアアッッ!!」


 リリアが警戒したまま構えていると、森の奥から怒りを全てを込めたような唸り声が響く。その直後のことだった。カイザーコングが木を圧し折りながらそれまでとは比べ物にならない速度でリリアに迫って来る。


「なっ!?」


 思い切り横に飛んで避けるリリア。横を見れば地面が抉れていた。


「殴って地面割ったり飛んで地面抉ったり……自然を大事にしなさいってのよ」


 冷や汗を流しながらリリアは言う。

 再びリリアの前に姿を現したカイザーコングの姿は、明らかに変化していた。腕は先ほどよりも膨れ上がり、その頭部には角が生えていた。全身の毛が逆立ち、体全体が大きくなったかのように錯覚する。爛々と光る眼は『敵』の姿を求めている。

 これこそが、カイザーコングの真の姿。全てを破壊するまで止まらない『レイジモード』だ。


「あなたが強くなればなるほど、私ももっと先へいける……私の糧になれ、カイザーコング!」



レイジモードのカイザーコング、イメージは某狩猟ゲームの激昂〇ージャン。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は10月24日21時を予定しています。

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