動揺
タイムアウト終了の時間になった。葵のチームは円陣を組んで気合いを入れ直した。
一方鈴子のチームは、円の形になって手を繋いでいた。
『私達なら勝てる。いい?落ち着いてプレイをするのよ!』
そう鈴子は言った。鈴子のチームはリラックスした感じがあった。
点数は8対8。サーブは鈴子だった。鈴子のサーブは天井についてしまいそうなくらい、高いサーブだった。
(天井サーブ!?狙いは…彩香か!)
彩香はチームの中でもレシーブが一番下手くそなので、高いサーブを打てばミスる。タイムアウトの時にそのことをチームで話したのだ。
『オーライ!』
彩香が声を出して取ろうとする。しかし、ボールの軌道がずれてしまったため、彩香のレシーブしたボールはコートの外に行ってしまった。
(まだ生きてる!)
ボールを取ろうとする葵。しかし、そのボールは地面についてしまい、鈴子のサービスエースになってしまった。
『やられたわね…彩香を狙ってくるなんて…』
愛結も葵も俊介も、もちろん彩香も狙ってくるとは思っていなかったのだ。
『彩香をカバーするわよ!』
葵がそう言った。
(甘いわね…カバーさせないわ)
鈴子のサーブ準備が終わったため、審判が笛を吹いた。鈴子はサーブを打った。
『!?』
葵のチームは全員驚いた。
(ドライブ回転のサーブ!?まさか初心者にそんなサーブが!?)
葵のチームは誰も取れなかった。一番取りにくい真ん中にサーブを決めたのだ。鈴子はサービスエース2本目になった。
『…あれは取れない…』
葵のチームは全員気持ちが切り替えせなくなった。
鈴子は次もドライブサーブを打った。今度は一番レシーブがうまい、葵を狙った。
(取れる!)
葵はアンダーレシーブの構えを取った。しかし、
『な!?』
葵はレシーブを失敗した。