作戦!
試合の流れはその後一進一退であった。スパイクを決める鈴子チーム。スパイクをレシーブし、カウンターをする葵チーム。どちらも互角の試合を繰り広げた。葵チームの優勢で進むと思ったこの試合のイメージは、一気に狂いだした。
『タイムアウト!』
葵がタイムアウトをとる。
『かー!疲れる試合だぜ…』
『四宮さん、思っていた以上にやるわね。まあ、私には負けるけど!』
『いや、あんたなんかよりうまいでしょ』
皆休憩しながら試合の感想を述べていた。
『皆、私に作戦があるの』
葵が案を出してきた。
『ゴニョゴニョ』
『それ…ハイリスクハイリターンね…勝算あるの?』
『うーん…わからない!』
葵は両手を後頭部に触れて適当に答えた。
『さすがにきついでしょ!?あんた馬鹿なの!?あの子のスパイク…止められないでしょ!』
彩香が葵に強く言う。彩香は今回鈴子のスパイクを止められていないのだ。ビーチボールバレー初心者のスパイクではなく、威力は全国レベルのスパイク並。目がなれていない彩香は止められなくて当たり前だった。
『俊介はどう?』
『いいんじゃない?』
俊介は普通に答えた。
『結局ブロックを無視してスパイク打ってる訳だし、ブロック飛ぶより守備範囲広くした方が止められるだろ?』
俊介はよく見ていた。鈴子のスパイクは相手の頭を遥かに越えたスパイクだった。しかも威力が高いスパイク。これを二人で止めるのは厳しいだろう。
葵の作戦はブロックをしないで、レシーブをたくさんするとのことだった。
ビーチボールバレーはブロックもレシーブの数に数える。ノーブロックならその心配もない。
『これなら絶対に行ける!だから信じて!』
葵はそう言った。
『わかった!』
『しょうがないわね…』
『おー!』
みんな意見が一致した。