葵のお願い
『はぁ…つまらない学校生活だなぁ…バレーをやめて…高校も転校して…1週間たったのに…』
『四宮さーん!四宮鈴子さーん!!』
名前を呼ばれて鈴子は呼ばれた方向を向く。
『あなたは、確か…?』
『私は、島田葵だよ!同じクラスなのに忘れちゃったの?』
『ああ…そういえばいたわね』
鈴子は少し思い出すのに手こずったのか、顔を渋らせながら答えた。
『四宮さんひどい!』
葵は顔を膨らませながら言った。
『四宮さんさ、どうしてうちの学校に転校してきたの?四宮さんって、あの中学バレーボール全国大会の優勝チームの選手だよね?うちってバレー部ないよね?』
『…』
鈴子は答えなかった…いや、答えられないのだ。
高校に入ってすぐにバレー部のエースといわれたが、練習試合でスパイクを一本も決められなかった。
その後の鈴子の評価は下がり、バレー部をやめて新しい生活をしようとしたが、他のこともやる気が起きず、そのまま学校をやめてしまった。そして、転校をして今の学校に来たのだ。
もちろん、鈴子はこんなことを言えなかった。
『言えないならいいや。でも、一つお願いがあるの!』
葵は真剣な顔でそう言った。
『なに?』
鈴子はどうせ下らないことだろうと思って適当に答えようとした。
『ビーチボールバレーを私達として!』
葵は真剣なお願いを鈴子にぶつけた