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3、ホルモンは飲み込むタイミングがわからない。

 転校生というのはどうしてこうも魅力的に映るのだろう。

 一時間目が終わってからは転校生の周りに人だかりができ、私はその隣で居心地の悪さを感じた。

 そう、私の隣の席が彼の席になったのだ。

 私はクラスの中でもそんなに前に出る方ではない。むしろ気配を消すタイプだ。しかし隣の席ともなると気配を消そうにも無理がある。一緒に囲まれてしまっているから。

「前の学校では何部だったの?」

「え、帰宅部」

「でも部活カバンじゃん」

「前の学校、指定のカバンとかなかったから」

「そういうことかー」

 気まずい。私も本来ならここで質問の一つや2つしないといけない雰囲気なのに、どんどん話が進んでいってついていけない。でも色んな情報は手に入るから、それをうまく利用しようかな。

「ていうか朝にもう会ったよね」

 彼が私の方を向いてきた。決して王子様みたいなきれいな顔ではないけれど、男臭くもないフツーの顔。

「ああ、あれねぇ」

「えええ? 空野さん、伊藤くんと会ったことあったの!?」

 あ、伊藤っていうんだこの人。さっき聞いてなかった。

「まさか? もう仲良くなってる感じ?」

 お調子者が口を挟む。

「なってないない」

 まだね。会ったばっかりだよ。と心の中で心の声をおもらしする。

 その日からあらぬ噂がどんどん広がっていったのは言うまでもない。学生の噂話の広がり方には本当に恐怖を感じる。やれ付き合ってるだの、やれ運命だの、伊藤くんにとっては迷惑でしかないだろう。かわいそうに私なんかでそんな噂建てられて。でも、私は不思議と悪い気はしなかった。


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