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1、高い肉にはやたら草が添えてある。

 久しぶりに高い焼き肉を食べに来た。バイトでためたお金で定期的にくる高級な焼肉屋さん。肉屋がやってる焼肉屋で、しゃぶしゃぶもすき焼きもできて、どれも絶品。でも私はやっぱり焼き肉。炭火でじっくり焼きながら食べる焼き肉が一番の大好物。注文し終わって、よだれが口からこぼれないようになんとか我慢する。氷水を一口、口に含んで、モゴモゴし、店内をさっと見渡す。

 いつもの光景。照明は電気代大丈夫かと心配するほど明るく、黒塗りの壁の所々に有名人の書いたサイン色紙が飾ってある。木目の机のど真ん中には綺麗な網が炭火焼きのセットの上に優しく敷かれており、ゆっくりと中の炎を大きくしている。まだ未成年の私はお酒は飲めないけれど、こういうお店でビールを飲めたら美味しいんだろうなぁと容易に想像がつく。そんなところでビール代わりのコーラが目の前に到着した。

 小さい頃からとにかく焼き肉が好きだった。誕生日には必ず焼き肉に連れて行ってもらい、お腹いっぱい食べさせてもらった。そのおかげで、私は良く言えば豊満な体型になっている。まぁどうせ彼氏なんてお金がかかるだけだし、デートするくらいならこうして焼き肉を食べたほうが幸せだ。まぁ焼肉デートっていうのもアリだけど。

「ゆめちゃん、今日もありがとうね。沢山食べるんだよ」

 小さい頃からお世話になっている店長が今日も大盛りのセットを持ってきてくれた。小さい頃からこのセット。店長おまかせの裏メニュー”ゆめちゃんセット”である。昔は誕生日だけに食べられる一年に一度の特別メニューだったが、今では自分の稼いだバイト代で食べられるまでになった。店長はそれを嬉しがってくれたのか、昔と比べて量が倍近くに増えている。

 まずはタンから。大盛りのネギを載せて鉄板に乗せる。肉の下でパチパチと音を立てて炭が燃えている。薄切りではあるけど大きめのそれの上にあるネギを、肉で箸を使ってうまく巻いて小皿の中のレモン塩に浸す。熱々のお肉がちょっとだけ冷えて、食べ頃の温度に変わる。それを口の中まで持ってくると、レモンの微かな香りとともに、香ばしい味が舌から脳まで秒速で届いていく。ネギのさっぱり感も手伝って、脳内の幸せホルモンが湧き出してくるのをなんとなく体験できたような気分になる。美味しいなんて言葉は簡単に言い過ぎている。でも、自然と口から溢れるのはこの言葉だった。

「んんん〜美味しい!」

 カルビやロースはしっかり焼いてタレに浸す。このタレも店長特製のタレで、ピリ辛で辛すぎず、かといって濃くも薄くもないちょうどいい味。何かのだしが入っているのかタレだけでも深みのある味で、お肉とよく合う。もちろん、最後は白米にかけて口にかき込むのが幸せ。

 世の中のダイエット中の女子はなんて可愛そうなんだろう。こんなに美味しいものを食べられないなんて不幸すぎる。確かに細いほうが可愛いんだろうけど、別に可愛くなくてもいいし。美味しいものを食べられる方が幸せに決まってる。私は絶対にダイエットなんてしない。いや、焼き肉をいくら食べてもいいダイエットがあるならしてやってもいい。でもどうせそんなものはない。そんなことより今は目の前のお肉。ホルモンちゃんが待っている。

 最後のデザートはもちろんバニラアイス。このバニラアイスが変わっていて、隣のトルコアイス屋さんと提携していてこれまた絶品。今日も美味しく食べきりました。ごちそうさまでした。

 帰りに明日の朝ごはん用にいくらかお肉を買って家路についた。

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