開花前の日常①
お昼時に失礼します。連続投稿第一弾です。
なぜヤンデレが開花したかを書いていきます。ヤンデレ要素がないので、タイトルとは反していますが、そこはどうかご勘弁を。
では、お楽しみください
それと、ブックマークが100件超えてました。
本当にありがとうございます。これからも、頑張っていきますのでよろしくお願いします。
「おはようございます」
俺の1日の第一声はこれだった。再婚の手続きが終わり、新たな家族として迎えた最初の朝だ。何も変わらないリビングの中にいたのは、新しい家の住人、川波――――いや、神辺雪江さんだった。
俺の新しい母さんだった。
「おはようございますって、家族なんだからそんな方苦しくなくていいのよ」
「いや……その、なんか慣れなくて」
「それもそうね。まあ、時期に慣れていけばいいわよ」
雪江さんはキッチンで朝食を作っている。カタカタという包丁の音が俺の鼓膜を細かく叩く。
「それにしても早いわね。どうしたの」
その時、時計の針が指すのは6と30だった。
早いっちゃ早いのか。
「いつも朝食作るのは俺の役目だったんで」
「え?そうだったの」
「まあ」
曖昧な返事を返す俺。別に偽りを言ってるわけではないのだが、こんなことあまり他人に話したことがなかったから慣れていなかったのだ。
「今日は私に任せて」
「はい」
そんな会話を経て、しばらくその場は無言になった。
「いただきます!」
元気よくそれを言ったのは俺の父、神辺和久だった。
「うまい!」
早速箸を動かし料理を頬張った父さんは、若干恥ずかしいぐらいにはしゃいでいた。たぶん、まだ慣れてない家族のこの雰囲気をなんとかしたかったのだろう。
我が父ながらなかなか不器用だ。
「そうだね」
俺はそれに便乗して和ませようと声を発した。まあ、なんとかその場が凍えることはなく、家族団欒とまでは行かないものの温かい雰囲気になっていた。
一人の少女を除いて。
「ど、どうしたの。香澄さん」
俺は朝食の初めからこちらを凝視して止まない香澄に話しかけた。なんか、ずっとこっちを睨んでるんだもん。あれかな、まだ家族として受け入れられてないとか、かな。
「香澄」
「……香澄さん」
「香澄」
間髪入れず香澄は俺に返答してくる。これはあれだな。香澄って呼び捨てにしないとダメなやつだな。
「………香澄」
「なんですか、兄さん」
ああ、やっぱりそうだった。
その当の本人の表情はすごく嬉しそうだった。
"ピーンポーン"
そんな中家中に電子音が鳴り響いた。インターホンのスコープ越しには恵の姿が写っている。
「ああ、もうこんな時間か」
「どうかしたの」
雪江さんが俺にそう尋ねる。
「幼馴染の恵っていうやつが迎えにきたんですよ」
「じゃあ、学校に行くの?」
「はい」
「これ」
そう言って雪江さんは俺に一つの包み袋を渡してきた。多分お弁当箱だろう。
「ありがとうございます」
「もう、家族なんだから当然でしょ」
俺は照れ隠しか早足でその場を立ち去り、リビングの外へ出て行く。
「いってらっしゃい…………兄さん」
ヒィィ〜!なんだか、無性に怖い。なにか怖い。とにかく怖い。
威圧感みたいなものがその声には含まれていたのだ。
とりあえず返事はしとかないと、なんか殺されそうだな。まぁここは無難な感じで。
「あ、あぁ。行ってくる」
そのまま玄関を通り、学校への道に踏み込んだ。