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部活勧誘

新キャラ登場です

「さようなら」


 ホームルームが終わり、学生たちは各々の行動へと移って行く。もちろん、俺もそれに倣って自分の行動を始める。


 今日は一人で帰れる。恵は部活だし、香澄は来ないと信じてるし。


「たくちゃん。私今日オフなの」

「兄さん、来ました」


 君ら一瞬で俺の信頼を破ったな。


 まあ、知ってたけどな。


「わかったわかった。一緒に帰るぞ」

「うん!」

「はい!」


 恵と香澄は元気よく返事をした。いつもこれぐらい素直だったら良かったんだが。


 俺は自分の席にある荷物をまとめてから二人を連れて教室を後にした。あいかわらず香澄が降臨したときのクラスは冷え固まったように静かだ。


 それに加えて恵が俺にくっついてくるようになってから、さらにそれは激化していた。


 はあ、不幸だ…………。


「なんで恵さんがいるんですか」

「ああ、空手部がオフだそうだ」

「へぇ、そうなんですか。………………邪魔ですね」


 おい、はっきり聞こえるような声で言うなよ。


「そういえば、香澄ちゃんは何か部活入らないの?」

「いえ、全くそんなつもりは天変地異が起ころうと毛頭ございません」


 そこまで否定しなくても。


「そんなことで私と兄さんの時間を潰したくないので」


 すると、それを無視して恵が俺に話しかけてきた。


「たくちゃんはなんで入ってないの?」

「それは兄さんが私との時間を大切に―――――」


 俺の回答を奪うように発言している香澄の声に重なるように俺は開口した。


「家事とかしないといけないからだよ」

「え?……………あぁ。なるほど、ね」


 恵は納得したようだが、香澄はきょとんとしている。まあ、仕方ないのだろう。再開したのはごく最近出し。香澄の方に目を向けると。


「え、ええ。もちろん、知ってますよ。……………あ、あれですよね。料理が好き、とか?掃除が好き、とか?」


 うん、まったくもって外れている。間違いではないけど、正解とは言い難い。


「香澄が俺の家に来るまで俺と父さんは二人暮らしだったんだ。で、その時に家事を担当してたのが俺だった、ってわけだよ。そのお陰で部活動なんてしている暇がなかった」


 思った以上の重っくるしい話に、香澄は若干いつもの態度が薄れている。やっぱり、こんな話聞きたくなかったかな?


「ごめんない。そんなこととはいざ知らず」

「ああ。別にいいよ。気にしてないし」


 そう言って俺は香澄をなだめようとするのだが。香澄は微動だにせず。


「いえ、ダメです。私は兄さんを悲しませてしまった。それは有罪です。重罪です。ですから――――」


 そして、香澄は顔だけを俺の方に向けて、こう言った。その表情は若干にやけているようでもあった。


「兄さん、私を罰してください」


 やばい。いつも以上だった。言うならば暴走していた。


「なんでもいいです。鞭打ちでも、お尻ぺんぺんでも、あと兄さんが望むのであれば………性的なことでも」

「はいっ!ストップ」


 これ以上行けばさすがにダメだ。ここはいちよう公共の場なんだぞ。


「たくちゃん……………私も」


 もうどうしちゃったのこの二人。



「ん?なんのお祭り騒ぎだ?」


 下足付近から騒がしい声がそこらかしこで聞こえてきた。


「あれだよ。部活勧誘だよ」


 頭に疑問符を浮かべている俺に恵は解説をしてくれた。なるほど、もうこんな季節か。


「まあ、関係ありません。兄さん、早く帰りましょう」

「う、ああ」


 そのまま袖を引かれ、多数のひとがたむろってあるそこへと足を進めた。なんとか波をかき分けて進むのだが、息苦しいが素直な感想だ。


「恵」

「たくちゃん」


 一瞬、離れそうになった恵に俺は手を伸ばした。そして、その手を掴み引き寄せる。


 だが、その加減を間違えてしまう。そのまま俺と恵は激突。地面へと倒れていった。


 頭に備えて閉じていたまぶたを開き、周りを確認して見た。転んだだけか、良かった良かった。


 プニュッ。


 と可愛らしい効果音がつきそうな感触が手の中に存在していた。俺の上にいる恵の胸がちょうど俺の手の位置と被さり、そして。


 弾力は然り、大きさは然り、形は然り。まさにパーフェクト。


 しばらくこの感覚を堪能したいのだが、もしそうしたのならばそれは探求家ではなく、ただの変態だ。だから、俺はこの衝動を抑える!


「兄さん?兄さん?兄さん?………何してるんですか?」


 恵の後方、そこから香澄の声が聞こえてきた。いや、悪魔の声だ。


「兄さんが、そんな。他の女に現を抜かすわけがありません。だって兄さんは私のもので、私は兄さんのもので」

「ちょっと香澄、思考ストッププリーズ。ほら恵も早くどいて」


 恵にも救助コールを出すのだが。恵はぐったりしたままで。


「たくちゃん。恵は今起きれない状況なの。足をくじいて、痛くて起きれないの。だから、助けて」


 うん、騙そうとも思ってないな、こいつ。今この状況をとことん楽しんでやがるな。くそ、他人事だと思いやがって。


 そして、周りの野次馬が徐々に広くなってきた。まずい。これは非常にまずい。こんなの見られたら。あるいは、殺される!。


「やばい!」

「あなたたち、こっちだよ」


 突如、優しい女の人の声と、手招きをする姿が感じられた。


「おい!行くぞ」


 俺は香澄たちを先導してその人に着いて行った。

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