人生初デート!
ブックマークが2000突破してしました!
ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!
恵とデートをすることになった。
この前は香澄もいたから、デートというよりかはお買い物に近かった。いや、お買い物だった。
あれは断じてデートなんかじゃない!
にしても、女子から誘われてデートに行くなんて今までなかったなぁ。初体験だ。
そう考えてみるとこのデートも悪くないかもしれない。っていうか普通にいい感じがする。
ああ、楽しみだな。
「兄さん、何かいいことでもあったんですか?」
ぎくっ。後ろに振り向けば、そこには笑顔の香澄の姿が。夜の闇から派生したようなオーラが香澄に纏わり付いている。
「いや?いや、ないぞ」
こいつなんでこんなに鼻が効くんだよ。
「そうですか?そうなんですか?…………本当にそうなんですか?」
ギロッと俺の目を見据えるようにそんなことを言う。もうほんと怖すぎなんですけど。
この後、何分も何分も話をした。
♦︎
「あれ?恵は?マイエンジェル恵たんは?」
「そういえば、兄さんもいませんね………」
私は起きてからまっ先に兄さんの元へ向かった。だけど、だけどだけどだけど!
兄さんの姿は跡形もなく消えていた。
「え?!あの腐れ童貞もいなの?!」
「え?!あの処女ビッチもいないの?!」
「あ!あんた恵のことそんな風に思ってたの?!恵はビッチなんかじゃないし!」
私の兄さんも腐ってなんかいません!
ですが、私はそれを外に出さなかった。
なんで兄さんがいない?恵さんもいない?二人同時に?
これは偶然、それとも………。
昨日少しだけ、体熱も上がっていましたし…………兄さんはなにか隠している?考えたくもないですが、それが一番濃厚ですね。
「恵梨さん、少しお願いできますか?」
「え?!」
兄さん……………待っていてくださいね…………。
♦︎
「たくちゃん、何見る?」
映画館の中、休日のため賑わっているそこで俺と恵は一緒に歩いている。
つまり、デートだ。デート。
「やっぱりここは恋愛映画かな?あ、でも、アクション映画もいいかも」
「う〜ん」
そちらの世界の話は知らないからな。でもやっぱりこの中なら恋愛映画がいいのかな。
「これ、とかかな?」
俺は大きな看板に描かれていた、恋愛映画を指してみた。まあ、無難なとこだろう。コマーシャルとかでも聞くタイトルだし、外れということはないだろう。
恵もこれを了承したらしく、俺たちはそのままチケットを買って入場した。
「楽しみだね」
「あ、ああ。そうだな」
恵が耳元でそう囁く。微かな吐息が俺の耳に被り、思わず身震いしてしまった。しかたない、ほぼ反射的だったもの。
映画本編が始まる前に予告や、CMが流れる。俺と恵はその時点で会話をやめて、お互いスクリーンの方を向いていた。
そして、上映。
物語はありきたりな学園恋愛ものだった。無口な少女と、そんな少女を放っておかない少年の恋物語を描いている。
だが、思いのほか伏線の張り方が上手で、引き込まれるように見ていた。
少女の暗い過去や、少年が少女を放っておかない理由、幼馴染が少女に向ける嫉妬。それら様々な要素が群れて、その作品は出来上がっていた。
序盤はアップテンポな感じで進んで行ったのだが、中盤にかけて回想シーンや、暗い話などが間に挟むようになった。
そして、終盤。話は思わぬ展開に。
なんと、無口だった少女が喋るようになったはいいものの、なぜかヤンデレ化。毒舌、他人への無関心さ、その二つが周りの人たちをイラつかせ、そして刃傷沙汰に。それを庇った少年が胸を刺され死亡。その事実に耐えられない少女はその場にいる全員を殺して、そして自ら自害。
なんとも、救えない話だった。
正直に言えば、あんまり好きな話ではなかった。
突如、ゾワっと身の毛が立つような感覚に襲われた。
寒すぎじゃないか?いくら室内といえこれは。
だが、周りを見てもそんなそぶりのものは一人もいなかった。
なんだ?俺の勘違いか?ならいいのだが。
♦︎
同時刻、拓人との席の斜め後ろ。そこに黒髪ロングの美しい少女が座っていた。その姿はまさに可憐。だが、その瞳は虚ろに輝いていた。
もう、兄さんったら。
ダメじゃないですか…………………。
そんなことしたら。
映画の予告は毎回毎回楽しみにしてます!
実は本編より楽しみにしてたり………。




