私と兄さんの日常です!
ジャンル別週間ランキング現実世界〔恋愛〕5位になってました!
みなさん、本当にありがとうございます。
「頼むから香澄もうあんな真似は二度としないでくれ」
登校中、俺は香澄にそう伝えていた。無論朝の件についてだ。
「もちろんです。私だって本当はあんなことしたくありませんでした。兄さんが、私に本当の気持ちを伝えてさえいれば、あんなことにはなりませんでしたし」
どうせ、あれだろ。それで香澄以外の名前を言ったら、また本当のこと言ってないとかいうんだろ?
「恵さんも、あまり私を誤解させるような行動は控えてくださいね」
と釘をさす香澄。言われた恵は「あ、うん」と気合負けしていた。
「そうです。いい返事です。ではでは、私と兄さんの青春ライフをお送りいたします」
「なあ、お前誰に向いては話しかけたんだ?」
「それは、ひ・み・つ……です♡」
そして、昼休み。
「もう!なんで、飛ばしちゃうんですかあ!」
香澄は駄々をこねるようにどこかへ向いて話しかけていた。朝も今も、誰に向いて話しかけたんだろうか?
「いいです。今から見せてあげます」
「な、なんなんだ。大丈夫か?香澄」
「香澄ちゃん……?」
俺たちは今三人で集まって食べている。例の一件から香澄やその周囲のもの(特に俺)にはあまり話しかけなくなっていた。
ああ、ぼっちになっちゃったよ。
「では兄さん、あ〜ん」
ついに昼でもあ〜ん、が始まってしまった。
「え?え?!たくちゃん…え?」
急に始まったこの光景に恵も周りの奴らも、疑問符を抱いただろう。だが、これがヤンデレにとっての普通なのだ。
くっ!ここで逃げたらヤンデレに殺され、ここで受ければ社会的に殺されてしまう。
「あ〜ん」
その眼力はまさに協力。俺はそれに負け、結局食べさせられてしまった。
っていうか、そのお弁当なによ。俺は購買で買ってきたけど、お前それいつ作ったんだ?俺たちって今恵の家に泊まってるよな。
「美味しいですか?」
「………美味しいけど」
「よかったぁ」
そこに出たのはとびきり満面の笑み。一切の邪気をはらんでいないその笑顔は、あまり見せない顔でもあった。
にしても、香澄がこんなにも料理が上手だとは知らなかった。
「これ、今日朝に恵さんに作ってきてくれたものなんですよ」
「恵?!」
「本当に良かった。兄さんの顔も可愛かったですし。もし兄さんが少しでも嫌な気持ちになっていたのなら、どうしたことか……」
香澄は恵のことを笑顔で見つめていた。
対する恵は少し頬を染めている。俺が美味しいとか言ったから照れているんだろうか?それは俺の思いやがりだろうか?でも、昨日あんなことがあったのだから照れてもおかしくはないのだろうか?
「兄さん……少し恵さんの方を見過ぎではないでしょうか?いえ、絶対に見つめてました。それは罪です、兄さん。兄さんは私のことを裏切った」
「ちがっ、見てない」
「見てないの………」
なぜか落ち込む恵に心を打たれ反射的に俺は。
「いや、ちょっとは見たけど」
「兄さん………!」
少し怒ったような顔で恵は俺の方に向き直り、手をこちらへ向けてくる。そのまま顔をガッチリと固定し。
「え?!ちょっ、ちょっと待って!」
「ダメです兄さん。今すぐでないと」
そのままその顔は接近してくる。桜色の唇と、長い眉が鮮明に見えて、改めて香澄が美しいことを理解していた。
「だ、ダメ〜!」
そんな時、俺と香澄の間に割って入った者がいた。
恵である。
「なんですか?私と兄さんの邪魔をするなんていい度胸ですね」
「いや、たくちゃん嫌がってたし」
「嫌がってた?兄さんが私のすることに嫌がるはずないでしょう?だって、兄さんは私の兄さんなのですから」
明らかに自分本位な考え方だ。そう、これがヤンデレなのだ。俺に執着するばかり、他人の考えや理屈を自分の思うがままに解釈してしまう。
言うならば、幼いのだ。
「恵さん……なんで私と兄さんの邪魔をするんです?」
「え?!それは…」
恵は何か言い出そうとしているのだが、なかなか切り出せていない。
「言えないんですか?つまり、理由もなく私と兄さんの邪魔をした、と?……………それどういう意味かわかります?」
香澄が恵の元へと迫って行く。明らかに黒いオーラを放った状態で。クラスの面々も唖然としてその光景を目にしている。
そして、壁まで追い詰めて。
「大した理由もないのに、他人の恋路を邪魔しないでください」
そのまましばらく、恵はその場に突っ立ったままだった。
ごめんなさい。キャラが画面の向こうの皆に喋りかける系一回やって見たかったんです。つい出来心なんです。許してください。
そして、見てくださりありがとうございます。




