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道場と道着

お気付きの方もいらっしゃると思いますがいちよう。


19:00毎日投稿してます!


できるだけ毎日に更新しようと思ってますが、作者の都合で更新できない日もあると思います。その時は気長に待ってくれれば幸いです。


これからもよろしくお願いします


「ここは?」

「見りゃわかるだろ。道場だ………どうだ?久しぶりだろ」


 建造さんはそんなことを俺に言ってきた。たしかに………懐かしい。いつ以来だろうか?小学生の時はよく来てた気がする。そこにはありふれた空手の道場があった。片隅にはマットがあり、着替え用の部屋まである。


「中学生のときか、少年がここに来なくなったのは」

「はい………そうですね」


 中学からは部活に入り、そして流れによりここには通わなくなっていた。


「高校はどうだ?楽しいか?」

「ええ、ものすごく。恵とか隼人とか、仲のいい友達がいっぱいいるので」


 まあ今は香澄も増えて、てんやわんやな日常を送っているのだが。


「それはよかった」


 建造さんはそれだけ言うと、着替え室の中に入って行きそこから道着を1着だけ持ってきた。少し霞んだ大きめの道着を。


「悪いけどお前用のやつは残してはいるんだが、サイズがサイズだからな。それは余ってたやつだ」

「良いですよ」


 俺は早速それに着替え、道場の真ん中へと、建造さんの元へと足を運んだ。


「手合わせ、お願いします!」


 久しぶりのこの感覚に一寸の高揚感と、不安が脳内を駆け巡る。体に刷り込まれた型を自然に取り、勝負の始まりを今か今かとと待ちわびていた。


 なんか、楽しい。


「じゃあ、行くぞ!」

「はい!」


 そして、組手は始まった。



「やっぱやらないうちに弱くなったんじゃないか?昔のお前なら後2分は粘れたぞ」

「建造さんが強くなってるんですよ」


 試合は十分と持たなかった。迫り来る何本もの腕が俺を錯乱させ、鈍っていた足の動きも相まって、見事に一発で決められたわけだ。


「はぁ、はぁ」


 と息切れは絶え間なく続いている。高校に入って運動は全然しなくなったからな。急な運動に体が驚いているんだろう。


「まあ、恵は俺よりも強いがな」


 建造さんは自嘲気味にそんなことを言っていた。実際にそうだ。恵は空手界において鬼才とまで呼ばれた紛うことなき天才なのだ。師匠である父親も変えてしまうほどの。


 そして恵は、『柏木流拳闘術』が始まって以来、最強の継承者とまでも謳われている。


「よし、俺も強くなるぞ!手伝え少年」

「え?……あ、はい!」


 若干無理矢理に練習が始まった。



「ホント建造さんは人使いが荒い」


 今俺はさっきのでかいてしまった汗を流しにお風呂場へと向かっていた。長く続く廊下を少しの悪態をついて進んでいく。


「ここ………だよな」


 そこにあったのはまるで温泉宿か、何かのような垂らされていた暖簾だった。もちろん男湯、女湯とかは書いていないが。


「誰もいないよな、オッケーだな」


 道着を脱ぎ、タオル一枚だけになった俺はそのまま中へと入って行った。やはり中も温泉と見違えるほど大きいものだった。


 シャワーが何台もあって、奥にお風呂が大きく位置している。


 シャワーで体を綺麗な状態にしてから、俺はそのお風呂の中へと飛び込んだ。


「うぅ〜。いい湯だ〜」


 そんな間抜けなの声を出しても聞くものが誰もいないのだから、良いものだ。


「そういえばここに入るのも久しぶりではないだろうか」


 そんな疑問を口にしつつ、先ほどの練習の疲れをじっくりと癒していた。


 と、その時。


 突如ガラガラという音と同時に可愛らしい女の子の声がした。


「はぁー。せっかくのチャンスっていうのに………でもでもまだまだチャンスはあるから、頑張ろう!」


 え?ちょっと待って?その声はだって、だって。


 嘘だろ。鍵を決めておくのを忘れたのか。なんて迂闊なことを。


 その声は恵みのものだった。そして床にはその美しいプロポーションの影が写っていた。


 そして、シャワーの音が鳴り始める。


 どんどんとその時間は過ぎていき、シャワーの音はなり終わり、その体を表に出そうとしていた。


 そして――――――


 その二人の目線が交差した。


「え?たくちゃん?え?」

「めぐ、み……」


 恵の姿は大部分がタオルで隠されていたが、その胸の大きさは隠すことができず、そこを強調していた。胸の大きさとは対照的にウエストは非常に引き締まっている。スポーツをやっているのだから、当然といえば当然なのだが。


「たくちゃん、見ないで。恥ずかしい」

「あっ、ごめん」


 恵は恥ずかしさからか、その手を胸の前でぎゅっとして力を入れた。その結果、その豊満な胸が腕に押しつぶされ形を変えて、それがより一層恵の可愛さを際立てていた。


 って、はやくここから去らないと。


「ごめん!恵」

「待って………ちょっとだけお話ししていこ?」


 そんな恵の言葉に俺は目を丸くする以外反応の仕方が分からなかった。

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