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姉vs妹

今回は少ないです。

「で、兄さん。この大罪人は誰なんですか?」


 たしかに俺『死ね!』って言われたけどさ。


「こいつは……」

「たくちゃん?!」


 ふと、後方からそんな声が聞こえた。あ、今帰ってきたのか。


「どうしてここに」


 あれ?恵は聞いてなかったのか?今日俺が柏木家(ここ)に泊まるってこと。俺はそのことを説明しようと恵に話しかけようとするのだが。


「いや、それはだな……」

「めぐみ〜!」

「お、お姉ちゃん?!」


 お姉ちゃんと呼ばれた影が香澄の手を振りほどき、恵の元に抱きついた。


「め〜ぐ〜み〜!拓人が暴力振るってくる」


 柏木(姉)が、そんな事実無根なことを恵に報告しているのだが、そこに暗い影が忍び寄る。


「………どういうつもりですか?」


 姉の後方からその肩を掴み、そいつの耳元に話しかけていた。そう、呪うような声音で。


「ひっ!」


 姉はそのまま恵の後ろに隠れるように回った。そして、ちょこんと恵の脇から顔を出していた。


「わかってるよ香澄ちゃん。どうせお姉ちゃんがそう言ってるだけでしょ」

「な?!」


 姉は恵に裏切られた、とショックを受けているようで。そして、香澄は恵に対し。


「恵さんのわりには理解力がありますね」

「あはは………いつものことかだから」

「いつものことなんですか?」


 そんなことを言う香澄の目線は姉の方に向いていた。そう、殺意を込めたものを向けていた。


「違うから、違うから……殺さないで」

「やだなー。そんなことするわけないじゃないですか」


 なんでだろう。笑顔のはずなのに。目が笑ってない。キラキラの眩しい笑顔のはずなのに。こんなにも怖い笑顔を俺は見たことがなかった。


 だが、香澄の言動は止まらず。


「………兄さんのいるところで」

「た、助けて!めぐみ〜!」



「へぇ〜、たくちゃん今日うちに泊まるんだ……」

「ああ、悪いけどな」

「全然全然。いいよいいよ。いつ来てもいいからね」


 やっぱり恵は優しいな。それに比べて……。


「えー!こいつが来るとかやだやだ。私の恵が汚れちゃうから」


 ピキッと幻聴か何かが聞こえた。そして、その方向からはオーラが揺蕩いていた。黒い黒い真っ黒などす黒いオーラが。


そしてそれを纏ったもの――――香澄は口を開いてこんなことを言い始めた。


「汚れ?兄さんが?何を馬鹿なことを言ってるんですか?どちらかというと、その人の方が汚れていると思いますけど」

「はあ?!恵は汚れてませんしー!清い体のままだしー!心も清純だしー!そこの腐れ童貞とは格が違うのよ」

「どうせ、恵さんも処女でしょ?その上可愛子ぶって………」

「可愛子ぶってるんじゃないし、元々可愛いんだし」

「いい加減兄さんを汚れ者扱いしたことと童貞扱いしたことを謝罪するか、命を持って償うかしないと、私、どうなるか分かりませんよ?」

「そっちこそ私の可愛い可愛い恵を処女扱いしたことを謝らなかったら、怒るからね」

「おい!俺はど、童貞だからな!」

「お姉ちゃん!私もしょ…………じょ、だから!」


 っていうか、なんの会話してんだ?俺ら。



「さあ、入って。たくちゃん、それと香澄ちゃん」

「ちぇっ!結局入れちゃうのかよ」


 もう、あんた黙っとけ。


「やっぱここは広いな」


 そこは今では珍しい和風建築の建物だった。中は全体的に風通しが良くて、開けた空間が広がっていた。玄関横の掛け軸には『初志貫徹』と書かれている。文字の選択が結構地味だな。


「おう!来たか、少年」


 俺を少年呼ぶのは恵の父『柏木建造』だった。50歳という年齢には見合わないほどの筋肉質な体が特徴的な人だ。


「お久しぶりです、建造さん」

「そんか堅苦しい挨拶はいらねー、今から行くぞ」

「え?どこに?」


 そんな俺の純粋な疑問など知らないと行ったように、建造さんは俺の首根っこを掴んだままそして風のように走って行った。


 あ!首締まる。やば!


 そんな苦しい思いをしながら俺はそこに到着した。

そういえば、姉ちゃんの名前出してなかった。

次回には必ず………。

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