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社長さんはパソコンに恐らくものすごく詳しい人であることはついこの間証明されている。
彼は上機嫌で俺の前に座り、堂々としたゆったりした動きで手を組む。
それだけで雰囲気を出していると感じるのは、きっと俺の思い込みだった。
「それで? 僕に用っていうのは?」
「ええっと……なんと言いますかですね。少々ご相談したいことが」
なんとなく面接の様で緊張してしまうが、社長さんは俺が何か言う前にハハンと頷いて俺の言葉を遮った。
「君が決勝の前に僕に相談するって事は、そう言う事なのかな?」
「……と言いますと?」
聞き返す俺に社長さんは意味ありげな目を細めて、にやりと悪い笑みを浮かべて言った。
「自分にもチートな技を授けて欲しい的な? 優勝に手が届く所まで来て欲がでちゃったとか?」
「違います」
「あれ?」
随分とあけっぴろげに言ってしまう人だ。
そんな勘違いをされるとは普段ならば心外なのだが、今日は割と近いことを頼もうとしているのだと気が付いた。
「……うーんでも。似たような話では――あるんですけどね」
曖昧に答えた俺も悪い。
瞬間、社長さんはもとよりアイドルさんからも冷ややかな視線が突き刺さる。
そして特に小学生は血相を変えた。
「見損ないましたよ師匠! そんな事だけはしない人だと思っていたのに!」
「いや……基本的にそういうことはしたくはないんだよ。今回も、勝つためにとかではないんだ」
「……なんですそれ?」
わからないと首をかしげる小学生。
「うーん、なんて言ったらいいかな……」
俺は眉を思いっきりハの字にして言葉を探した。
しかしどう話とところで、正当化できる気がしない。あえて正当化したくないと言ってしまった方がいいのかもしれなかった。
社長さんは説明に悩む俺に面白そうに茶々を入れる。
「ははっ。随分とあやふやだな。何かしたいことがあるみたいだね?」
「そうなんですよ。じゃあ目的だけ先に言っちゃいましょうか」
「それが一番手っ取り早いかもしれないね。それで何がしたいんだい?」
やさしく聞いてくれる社長さんの促しに甘えて。
「ええ。相手のキャラクターを、殺したりすることって出来ないですかね?」
俺は思わず困り果ててストレートに尋ねた。
しかしその瞬間、完全にテーブルの空気が凍りついたのを感じた。
まずいなーと思いつつ、俺は何か言おうとしたが、社長さんはさっきまでとは明らかに顔色を変えて、真顔で俺の肩を叩いた。
「……えーっとな。なんというか……相手に何か恨みでもあるの? こう言っちゃなんだけどオンラインゲームで憂さを晴らすなんてやめた方がいいよ? あんまりひどい事をされているようだったら、僕が知っている弁護士さんに紹介しようか?」
「……おう」
思ったよりもがっつり心配されてしまった。




