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異世界姫滞在記  作者: いぬがさき
第7章 開戦

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進む意志


そして、着弾



ー ズドォオオン! ー



オークが力の限り投げ打った電柱群は、有志隊付近の地面に深く突き刺さり、腹に響く衝撃音と土砂を盛大に撒き散らした


舞い上がった砂塵で視界がゼロになり、優太は本能的に止まりそうになるが、見えない恐怖を無理矢理抑え込み、ミーシャを信じて駆け抜ける



ー ダダダダダ! ー


ー ゲギャギャギャ ー


一面視界不良となったのを機に、それまで息を潜めていたゴブリンやコボルト達が一斉に蜂起する気配を感じ、至る所で戦闘音が鳴り始めた



「み、皆は無事なのか!?」


(みんなの息遣いは聞こえてるし大丈夫だよ、パパ!)


「そうなのか?」


(うんっ!私は風とお友達だからね、分かるんだ。だから、安心してね)


「・・・分かった。ありがとうミーシャ」


(うふふ、お安い御用だよ)



迷いなく駆けるミーシャの力強さと、頼もしい念話、そして、その背に寄り添う形で屈めた上半身に伝わってくる彼女の体温で、優太の不安は幾ばくか和らぎ、心を落ち着かせる事ができた



『各自報告せよ!』



『損害無し』


『ゴブリンと戦闘中!』


『車両損傷軽微』


「損害無し」


しばらくしてアリスから状況報告の指示が飛び、報告が次々とあがる


報告によると奇跡的に全騎全車とも電柱投擲の直撃は免れ、負傷した者はいるものの、死者や命の危機にある者はいなかった


ただ、着弾の衝撃で軍用車の1台が横転し、走行不能に陥ったという報告があがった



『了解じゃ、ただちに救援に向』


『それはなりません、姫様』



アリスは報告を受けて、すぐに救援へ向かおうとしたが、その判断を否定したのは、他ならぬ横転した軍用車の乗員達であった



『し、しかし』


『今は一分一秒を争う作戦行動中です。失敗すれば私達の全てが無駄になってしまいます』


『耐久訓練済みですし、本隊が来るまで持ち堪えてみせます』


『それに先程の攻撃が再びこないとも限りません。いえ、きっとくるでしょう。だからどうか、発射台を潰して下さい』



【自分の判断ひとつが人の命を左右する】


戦闘訓練を受けていた時から幾度となく聞いた言葉がアリスに重くのしかかる


頭では理解したつもりでおり、自分は冷静に正しい判断ができるという自信もあった


しかし、いざその状況になると、躊躇い迷い、自信さえも敵であるようにみえてくる



『ぐぬ・・・分かった・・・じゃが、絶対に死ぬでないぞ。これは命令じゃ』


『『『『了解です』』』』



アリスはしばし葛藤し


そして、彼女は進む事を決める



それが正しい判断かどうかなんて分からない

正しいといえる自信もない


だからこそ、アリスは最終的に仲間の言葉を頼って信じた


『姫様、御武運を!』


『ああ、そなたらもな』




「・・・ミーシャ、一秒でも早く駆け抜けよう」


(まかせてっ!)


仲間とアリスの覚悟を耳にした優太は、唇を噛み締め、決意新たに突き進む



(パパ!砂煙から抜けるよ!)


ー ドッ! ー


ミーシャの念話が届いた直後、視界が一気に広がった


ほぼ同時にアリス達が砂霧から抜け、リリとミーシャが並走する形となる


ー ドゥッ! ー


遅れて近衛騎士、軍用車両が抜け出し、横転した車両以外は無事である事が確認できた



しかし、無事を喜び合う間もなく、先程より近くなったオーク群が再び投擲物を構えんとする姿がみえる

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