思考
朝、私が起きた時には、彼はすでに起きていた。
「おはようございます。」
「あ、あぁ、おはよう。」
何を言えばいいのかわからなかった。
彼に言いたいことはたくさんある。
でも、何を言えばいいのかわからなかった。
「朝ご飯、食べようか。」
「…そうですね。」
朝はいつも通りだった。
ただ、会話がなかった。
「今日は学校に行きたくありません。」
朝食を食べ終わった時に彼はこう言った。
「なっ、駄目だ!君は学校に行かないと…。」
「今日は!…とてもじゃないですけど、笑顔を作れません。」
「じゃあ、私も…。」
「一人にさしてください…。」
「な、なぜだ!?」
「…考えたいんです。自分のこと。たった一人で…。」
「だが、今、君を一人にすれば…。」
「僕を信じてくださいよ…。」
私はもう何も言えなかった。
彼がそれを望むのなら、仕方ない。
そう、仕方ない。
だから…。
「…わかった。」
「いってきます。」
…返事は返ってこない。
当然だ。
今、彼は寝室にいる。
寝室に私の声は聞こえないだろう…。
考えてみると、一人で登校するのは久しぶりだ。
何も考えずに歩いていたら、すぐ着いてしまった。
今日の学校はつまらなかった。
彼のことについて考えていたら、いつの間にか終わっていた。
まだ、答えは出ていない。
だが、今は彼を一人のままにしておくべきではないと思い、すぐ帰ろうと立ったが、それは止められた。
「今日は彼、来なかったんですね。」
あの女だった。