不安
風呂に入り終わり、彼を寝室に連れていく。
よく、考えると夜にいつもやっていた勉強はどうしようか?
彼に教える必要性はなかったからな…。
まぁ、いいか。
やろう。
あれはもう私の習慣だからな…。
とりあえず、彼を布団の中にいれる。
あの発言をしてから、彼は一言も発していない。
少し悲しそうな顔をして、そのままだ。
そんな彼を見ながら、勉強を開始する。
十分程したころに彼を見た。
目を閉じているところを見ると、寝ているのだろう。
私はもう一度、参考書に目を通した。
勉強が終わり、私は伸びをした。
背中の骨がバキバキと鳴った。
「終わったんですか?」
不意に彼が声をかけてきた。
「終わったよ。…寝たんじゃなかったのか?」
「寝てましたよ…。でも、何か、変な夢を見てしまって、起きちゃいました。」
私は不安になった。
もしかして、あの時のことを夢で見たのではないか?と。
「でも、どんな夢だったか忘れました。変な夢だったっていうのは覚えてるんですけどね。」
「あ、あぁ、そうか。」
良かった。
何にせよ、忘れてくれていた方がいい。
「さぁ、それじゃあ、寝ようか。」
「…寝るのも一緒なんですか?」
「当たり前だろう。私にどこで寝ろというのだ。」
「じゃあ、僕が床で寝るので、布団、どうぞ…。」
「…ダメだ。」
「…ですよね。」
私は布団に潜り込み、彼を抱きしめた。
「わっわっ。な、なんで抱きしめるんですか?」
「私は何かを抱きしめなければ、寝れないんだよ。」
「…僕が寝れないんですけど。」
「何か言ったか?」
「な、なんでもないです。」
顔を赤くしている…。
可愛いな…。
「それじゃあ、おやすみ。」
「お、おやすみなさい。」