無能
ユニーク1000突破しました!
ありがとうございます。
これからも「前途多難です…」をよろしくお願いします。
学校に行ってわかったことだが、記憶喪失になったことによって、全てを忘れただろう、と思っていたが、どうやらあの頭脳は残っていたようだ。
どうやら彼の記憶は人に関するものだけ消えているようだ。
…私のことは覚えていてほしかった。
とまた愚痴を言っても仕方がない。
今、彼は寝ている。
私の目の前で…。
目の保養になる彼の寝顔…。
おっと、涎が垂れている。
拭いてやろう。
私はハンカチを出して、彼の口周りを拭いてあげようと思ったら…。
私と同じような行動をしているあの女が視界の片隅に見えたので、あの女の方を向いて、ニコリと笑顔を見せて、こう言ってやった。
「まず、お前は帰れ。」
そう言ってやったら、あの女もニコリと気色悪い笑みを見せて…。
「私が貴女の代わりをしますから、貴女が帰りなさい。」
こう言いやがった。
「彼の世話は私がする。お前に任せれるか。」
「貴女なんかより、数倍私の方がマシですわ。」
「彼を壊した奴が言える台詞か?」
「改心しましたから。」
「改心ねぇ。信じられないな。」
「貴女に信じてもらわなくても結構ですわ。それに私がした事は一般では知られてませんしね。」
そう、私も疑問だったんだ。
あの事件は一般に知られていたのかを…。
あの後、ニュースを見て、報道されていなかった…。
裏に何かあるのかと思ったが、あの時は私も忙しかったから、何もできなかったし…。
まぁ、今あの女が言った通り、一般では知られず、闇の中ということか…。
どうせ、金の力だろうが…。
「ふぁー。…あれ?どうしたんですか?」
「なんでもないよ。」
あの女は金にしかすがれない、能無しだってことだな…。