不変
結果として、私達は学校を遅刻してしまった。
当然といえば当然の結果かもしれない。
なぜなら、どちらが彼を担いで、階段を上がるかを言い争っていたからだ。
まぁ、その言い争いも彼の喧嘩しないでください発言により終止符が打たれた。
結果、先生が彼を担ぎ、私が車椅子を持つということになってしまった…。
あの女はあの女で担がれている彼と仲が良さそうに話をしてるし…。
大体、あの女にとっても彼には思い出してもらいたくないはずだ!
なのにあちらからそれを掘り返そうとしている…。
訳がわからない!
しかも驚いたのはこの後だ。
あの女が私達のクラスに編入してきやがった。
この前は隣のクラスだったというのに…。
その前に確か、退学させられたんじゃなかったのか!?
それについて聞いてみたら、また同じように「金持ちですから。」と言いやがった。
あぁ、もう、イラつく!
私の家も同じようなものだが、ここまで親の脛をかじったことはないぞ!?
どんだけ甘やかしてるんだ!
あの女の親は!
子どもがあれなら親も駄目なのか!
とこんな風に愚痴っていても仕方ない。
はぁ、と私は嘆息した。
どうするか…。
…今のところは彼に何もしていないが、いつ、あの時のように同じことが起こるかわからん。
徹底的に監視するしかないか…。
「大丈夫ですか?」
と彼が心配してくれるが、そんなことよりも私はそんな彼の姿を見て、また嘆息した。
はっきり言うと、全然変わってないのだ。
親しい人間ぐらいにしかわからないだろうが、彼の本質は全然変わってない。
むしろ、昔の彼に戻ったみたいだ。
彼の親がいた頃みたいに…。