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天の花  作者: 猫姫 花
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ロビニーア・コナー


 ***


 ヤカンの下で、炎が踊っている。

 ロビンは小さくなったディープブルーの棒飴を口から出し、「どうも」とクロトに言った。

「ロビニーア・コナーです。通称ロビン。どうぞご気軽に」

「ロビン・・・ルイカが話してた子?」


 クロトがルイカに向くと、ロビンもルイカを見る。


「そう。ごめんなさいねロビン。勝手に名前を使ってしまったの」

「いいよ別に。よく分かんないけど」


 ルイカは頷いた。クロトを示し、ロビンを見る。


「こちらはクロティス・ニローさん。通称クロトさんね」

「どうも」


 ロビンが手を差し出すと、クロトは手を握り返した。


「ロビニーア、ってことはご両親のどちらかがロビンさん?」

「そう。父がロビン。母の父、僕の祖父ちゃんもロビン」

「へぇ。運命的だね」


 ルイカが不思議そうに首を傾げると、ロビンが気づいた。


「人間界の決まりごとみたいなやつで、名前の下に〔ニーア〕がつくと、『誰それの子供です』って意味になるんだ。僕は男だからロビニーア。女だとロバネスが多い」

「じゃあロビエルも?」

「そう。元々ロビンは男女兼用。ロビエルもね。デュオニュシウスの息子がデュオーリオン、みたいな感じ」

「ああ。なるほど。分かったわ」


 ヤカンが女の悲鳴みたいな音をあげ、クロトは茶の用意をし始めた。


「そうだクロトさん。アトリムグの紅茶に興味はおあり?昨日帰って来る時に寮から持って来たの。それを飲みましょう?」

「いいね。淹れ方は同じ?」

「私が入れるわ」


 ルイカはそう言って二階へと上がって行った。

 ロビンはフードコートを脱ぎ、ルイカと同じような呪文でホウキを消した。

 クロトは不思議な気分でそれを見ている。


「アトリムグでは、そういう不思議なことが日常なのかい?」

「そうらしいね。僕も初めてアトリムグに行った時は驚いた」


「え?」

「ああ。僕、生粋の『ウィタジィ』じゃないから・・・あ。ウィタジィはアトリムグで魔法使いの総称ね。僕は隔世遺伝で素質を継いだから、人間界生まれ、人間界育ちなんだ」


「へぇ・・・ああっ、だから普通の名前なんだね」

「そう言うこと。DRKには十三歳から入ったから、それまではずっと人間界で暮らしてたんだ。生まれつきウィタジィの血筋だっていうのは知ってたけどね」


「DRKって言うのは?]

「ウチの学校の略称だよ。デュオニュシウス=ロバート=コズリ魔法学校。十二歳から十八歳までの完全寮六年制。けっこうレベルが高いらしいけど、僕にはよく分からない」


「君は成績いいの?」

「さぁ?中ぐらいじゃないかな?ルイカはいつも一番だよ」


「へぇ・・・なんかそんな雰囲気はあるね。君のお祖父さんかお祖母さんが、その、ウェタ―ウィタジィ?ってやつだったの?」

「どっちも。僕の家系は変ってて、代々人間とウィタジィ、そのハーフやらクウォーターやらが結婚してるから、血の濃度に激しい差があるみたいなんだ。そういう家系って珍しくて、僕はその不安定な血のせいで能力のコントロールが上手くいかない」


「ふぅん。大変そうだね?」

「クロミスさんも魔法使い家系なんでしょ?」


「うん。そうらしいけど・・・クロミスじゃなくて、クロティスだよ」

「あ。ごめんさい」


「いや、いいんだ。クロトでいいよ」


 階段を降りて来る、軽い足取りが聞こえてきた。


 ***


「もう仲良くなったの?」

 ルイカはヤカンを持ち、手際よく準備を始める。

 ロビンは口に飴玉を入れながら答える。

「そんな予感がモリモリ」


 カップをお湯で温めているとルイカは、ふふ、と微笑した。


「珍しいわね?人見知りのロビンが」

「変な仲間意識?を勝手に感じてる」

 ロビンがクロトの顔を覗き込むと、クロトは微笑んだ。


「それは光栄だよ」


 ロビンの灰色の目が僅かに細くなった。

 クロトはふと、彼は十六歳なんだよな、と思った。ロビンはルイカと同じぐらいの身長で、体重もさほどなさそうだった。人間で言えば、十二か十三歳ぐらいだろうか。飴玉と同じ、ディープブルー色のネクタイが印象的だった。


「淹ったわ」


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