表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/20

第19話「血の後始末」

「はい、大樹。これ持って」

 仁美が差し出したのは、黒いビニールシートとガムテープ、そして大型のカッターナイフだった。


「……なにこれ」

「死体処理セット。さっさとやんないと、藍影会の仲間がすぐ嗅ぎつけてくる」


 床には、先ほど倒した男たちが転がっている。

 まだ温かい血の匂いが立ち込め、大樹の胃の奥がきゅっと縮む。


「ま、まさか……解体、とか?」

「そうよ。運ぶより細切れの方が楽でしょ? ほら、関節の隙間をこう——」

 仁美は慣れた手つきで男の腕を捻り、関節部にナイフを差し込んだ。

 骨が外れる音が、やけに鮮明に響く。


「うっ……」

 思わず目をそらす大樹の背後で、仁美が笑う。

「何? 今さら引くの? あんた、もう立派に“やった”んだから」


 仕方なく大樹も作業を始める。

 汗と血と鉄の匂いが混ざった空気の中、手が震えてテープがうまく切れない。

 その手を、仁美が後ろから包み込むように押さえた。

「力の入れ方、こう」


 耳元で囁く声が妙に近く、鼓動が早まる。


 二人で袋詰めを終えた頃、仁美は外の気配に眉をひそめた。

「……やっぱり来るわね」


「え?」

「藍影会の報復部隊。血の匂いを嗅ぎつけたか、追跡してきたか……どっちにしろ厄介よ」


 その瞬間、廊下の向こうから重い足音が響き始めた。

 大樹は手に持ったカッターナイフを見下ろし、唾を飲み込む。

 ——今度は、もう迷っていられない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ