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第15話「絆の裏側」
薄暗いアジトの一角で、仁美は新たな依頼の書類を手にしていた。
大樹は隣でナイフを研ぎながら、ふと視線をそらす。
「最近、どう思ってる?」
仁美の声は冷たくもなく、どこか心配げだった。
「……何を?」
大樹は答えを濁し、目を逸らした。
「この仕事、この世界。あんた、本当に続けられる?」
大樹は手元のナイフに目を落とした。
研いだ刃が、ぼんやりと彼の表情を映す。
「俺は……父さんを殺したいだけだった。だけど、ここに来てから、色んなことがわからなくなった」
「わかるよ」
仁美は息を吐いた。
「あたしだって、最初はそうだった。命を奪うことが日常になっても、心のどこかで叫んでる。『これでいいのか?』って」
「なのに、なんで続けてるんだ?」
「生きるためよ」
仁美は真っ直ぐに答えた。
「裏社会にいる以上、逃げ場はない。自分が強くなるか、潰されるかのどちらかだけ」
大樹は黙ったまま、ナイフを研ぎ続けた。
そのとき、外から叫び声が聞こえた。
アジトの扉が激しく叩かれ、緊迫した空気が二人を包む。
「来たわね」
仁美はナイフを研ぐのをやめ、立ち上がった。
大樹もまた、覚悟を決めたように顔を上げた。
二人の間に、ただ冷たい沈黙だけが流れた。




