呂布戦場に参戦する
袁紹は、腕を組みながら怪訝な顔をしている。
「なに?門が開かれていくだと!?」
虎牢関にある門を開くための衝車を使わずに、向こうから門を開けてくれたので袁紹は動揺を隠せない様子だった。
「はい、敵の罠かもしれませんがどうしますか?」
袁紹は、顎を触りながら少し考える。
(門を開ける理由があるとすればやはり待ち伏せだろうか)
敵の目的は、わざと門を開け放ち入ってきたところを弓兵などで応戦するのが一般的だろう。
「孫堅、曹操、劉備の兵たちで伏兵に気を付けながら門の中に進んでいけ。ここで足止めをくらうわけにはいかないからな。我々の兵は、安全が確保出来次第進んでいく、そう伝えておけ」
「はっ!」
伝令に来た兵が袁紹の元を離れていく。
「この戦は……」
袁紹の見つめる先には三人の将兵がいる。この戦は、袁紹にとっては楽な戦だろう。三人の名将が手を取り合って董卓を討つ、そんな状況に。だが、これが決して良い事だけだとは思ってはいなかった。この戦が終わればそれぞれ別の大志を抱き、違う道を進んでいくことになる。誰が敵になり、味方になるか、この時は袁紹でも知ることは出来なかった。
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門が開かれる。目の前に見える光景は、董卓の兵士たちが次々とやられていくさまで、辺りに死体が転がっており、敵が門の目の前まで迫ってこようとしているそんな状況だ。ここで戦っていた董卓の兵は全滅したと思われる。ゆっくり門から出て敵に日の影に隠れていた姿を見せる。
その姿を見た兵士は驚いた顔を見せていた。
「あっ、あれは。呂布だ! 呂布が出たぞ!!」
目の前にいた兵士が逃げ出すように大声を上げていった。呂布は、あいさつ代わりに近くにいた兵士数人に武器を振りかざし無残にも一振りで、首が消し飛んでしまった。
「ふっん雑魚が。このまま終わるわけないよな」
呂布は目の前にいる敵を威嚇する形で武器を振り回し続けている。このまま突っ込んでいきそうな勢いがあったが、門の前で通せんぼするかのように立っている。李儒から言われたことを一応守っているようだ。
呂布が現れてから兵士たちは動きを止め様子をうかがっている。二つの部隊が左右から呂布を避けるように門の方に移動しているのが見える。呂布は、馬を蹴飛ばし右にいる5人の部隊を後ろから横に薙ぎ払うように斬りかかる。そしてそのまま左に迂回して今度は前から兵士を鮮やかに斬りかかる。悲鳴を上げる暇もなく兵士は体を真っ二つになり絶命してしまった。
この様子を後ろから見ていた劉備は、呂布の凄まじさに驚いていている。
「なるほどあれが噂の呂布か、ただ相手は一人この門さえ通ってしまえば董卓のいる洛陽まではももう少しだ。」
劉備は、すぐに別の兵士二、三十人を前に行くように指示を出す。
(おい!行くぞ)
それを見た呂布は、僕に兵士に向かっていくように指示を出し、前にいる兵士達を横に薙ぎ払うように一直線に斬る。返り血の一部が顔に付き、赤い毛の一部が血に変わっていた。
「こんなもんか、つまらないな」
門に向かって来た兵士達を切り捨てた呂布は、素早く馬を右に動かし、また門の前で立ち止まった。兵士の数が少なくなり、後ろの方にいた髭の濃い男と、体の大きい男が見えるようになった。 あれが噂に聞く関羽と張飛だろう。そしてその真ん中にいる少し背の小さい男が、劉備で間違いはないだろう。
呂布に、関羽と張飛そして劉備がいる場所を教えた。呂布は、(そうか)とだけ言って、それ以外の反応を示すことはなかったが、こちらの視線に気が付いた劉備は、呂布の方に視線を向けて互いににらみ合う形になりしばしの間沈黙が続いた。
その間劉備の兵士は、徐々に後ろに下がっていき、そして兵士を退けるように出てきたのは、髭の濃い男関羽であった。彼が華雄を討ち取った名将関羽である。遠くから見てもただならぬ力を感じていたが、近くで見るとさらに迫力が違っていた。両手に抱えている薙刀似た武器は、青龍偃月刀と呼ばれる武器で関羽は、呂布の目の前まで歩いていき武器を一回転してから。
「我が名は関羽雲長。少しの間手合わせ願う」
関羽は淡々と呂布に向かってそう言いながら物凄いスピードで武器を振り下ろした。その攻撃に反応することは出来なかったが呂布は違った。片手に持っている武器で関羽の攻撃を受け止める。武器と武器とがぶつかり、体に響いてくるくらい大きな音が鳴った。
この一振りだけで確信した。目の前にいるのは本物の関羽で、三国志の歴史に名が残る名将だということに。そして相手も同じことを思っているのか。
「ほぅ、流石ですな~、さっきの攻撃を受け止めとは」
攻撃を受け止められた後関羽は、いったん後ろに下がり呂布から距離を取って離れていく。関羽は、攻撃を受け止められても余裕のそぶりを見せている。
虎牢関での戦いは、軍神関羽と猛将呂布。この二人の戦いから火花が散ろうとしていた。




