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エピローグ

 「何をやっているこの愚か者めが!」


 なんだ?妙に低い声で不気味な悪い声は。


 「呂布はどこにいる? 儂を護衛しろといっただろ」


 呂布?どこかで聞いた事がある名前だな。


 「お待ちください董卓様。奉先様は今、曹操様との戦いを繰り広げておられます」


 董卓に、曹操だと?まさかここは!?


 「ええい、もうええわ! 」


 急に視界がぶれたと思ったら、なんだか体が重くなる。


 「儂は、一度洛陽に戻るぞ、別に逃げるわけではないぞ。儂が死ねばこの国は終わるからな」


 横腹を蹴られた俺は、体が重いにも関わらず、とんでもない速さで駆け抜けている。まるで、自分の意思がないかのように。


 「お待ちください董卓様、ここを離れては、今戦っている兵と民たちはどうなるのです!」


 か弱くも、どこか勇ましくもある声には反応せず、顔は見えないが、多分笑っているのであろうと想像できるくらい、董卓の握る手綱には、力が入っていなかった。


***


 「おい貂蝉、董卓はどこ行った?」


 たくましい姿の男が、部屋の中を見渡しながら、貂蝉と呼ばれる美しい女性と会話をしている。


 「はい奉先様実は、董卓様は私たち民を見捨てて、洛陽に逃げ帰ったのです。」


 「なんだと?」


 呂布は、貂蝉の話を聞いて不満そうな顔をした。 


 「董卓め、俺を戦場に出さずに、護衛に付けさせてしかも、一人だけさっさと洛陽に逃げ帰る。曹操以上に腰抜けだな」


 曹操という言葉に反応したのか、貂蝉の目が鋭くなった。


 「そういえば、奉先様は曹操様と、戦いになられていたんですよね? その……怪我の方とかは?」


 手をもじもじさせながら呂布の事を、心配そうに見つめている。


 「あんな腰抜け俺の敵ではないわ。曹操の奴、俺を見た瞬間手下どもを引き連れてそそくさと逃げたいったわ」


 自慢げに答えるので、不安な顔をしていた貂蝉は、安心しきった顔に戻る。

 貂蝉の安心しきった顔に呂布も、歴戦の将兵と思えないくらい、優しい顔をしている。貂蝉の肩に手を置き、二人だけの空間を楽しんでいるところに、それを邪魔する男が出てきた。


 「呂布殿。董卓殿より伝令です」


 その男は、呂布と同じくらいたくましい見た目をし、その目つきは己の信念を全うする者の目をしている。


 「なんだ、張遼。いい感じのところ、邪魔しおって」


 不機嫌そうになりながらも、貂蝉の肩に置いていた手を放して、張遼に目を向ける。


 「すみません呂布殿。ですが、こんなことをしている場合ではございません。董卓殿が洛陽に向かっているところを袁紹殿に見られまして、華雄殿が敵の大軍を引き留めているところです。ですので、我々も急ぎ支度をして、董卓殿がおられる洛陽に向かいましょう」


 張遼の話を黙って聞いていた、貂蝉は、聞き終えた後何かを決心した顔になり。急いで奥の部屋に行ってしまったのだ。

 それに対して呂布は、必死に苛立ちを抑えようとしているが、ある言葉の一部を聞き、にやりとした顔に戻った。


 「ほう、敵の大軍か。なかなか楽しめる相手が、一人や二人いるかもしれないな」


 呂布の独り言を聞いた張遼は、呂布の考えを察したんだろう、特に驚くそぶりを見せようとはしていない


 「では呂布殿、我々はここの民たちを安全なところに避難させてから、洛陽に入ります。貴殿なら大丈夫だと思いますがどうかご無事で」

 「なあに心配するな、あんな雑魚どもは俺一人で十分だ、それよりも、貂蝉たちを頼んだぞ」


 張遼にそう言い残した呂布は、駆け足で屋敷から出て、その入り口に置いてある、鹿毛の馬にそっと他を置

く。


 (そういえば、あいつが乗っていた赤くてたくましい馬は、なかなか良かったな)


 鹿毛の馬を見るなり、董卓が乗っていた赤い馬の事を思い出す。


 (戦場に出ない豚が使っても、あの馬は喜ばないだろう)


 董卓に不満を募らせながら、馬にまたがっていく。


 (今は、あいつの事よりこれから起こる戦の事が大事だ)


 呂布は闘志を燃やしながら馬を動かし、右手に抱えている武器、方天画戟を振り回す。

 まだ見ぬ強敵を、追い求めながら呂布は、洛陽に向かって駆けていくのだった。

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