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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第20章

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96/211

3.強襲、そして背後にある闇。

あとがきより、新作も応援よろしくです。

_(:3 」∠)_







 リィナから報告があったのは、二日後のことだった。

 マリンが彼女の家に薬を取りに行っている間、ボクとアルナはそれの到着を宿で待つ。他愛のない話をしつつ、今後の動きについて相談もしていた。


 そんな折だった。



「……いま、なにか物音がしたな」



 アルナが、小さな声で言ってから外を警戒したのは。

 あまりに鋭い声色に、ボクの気も引き締まる。もしかしたら、墓地で遭遇した魔族――クリムが現れたのかもしれない。

 そう思ったのは、探った気配が人間離れしていたから。


 おおよそ人間の持つものではない。

 それこそ強力な魔物であったり、魔族と形容するのが正しい。


 でも、どこかボクには違和感があって――。



「でも、待って。この気配って――」



 もしかしたら、敵ではないかもしれない。

 そう口にしようとした瞬間だ。




「クレオ、下がれ!!」

「なっ……!?」



 激しい音を立てて、窓を突き破ってきた人物があった。

 その【ヒト】は赤い髪をなびかせる。禍々しく黒化した右半身。右目はひどく充血しているようで、血の涙を流していた。

 おおよそ人間らしからぬ姿をしている。

 しかし、ボクはその人に見覚えがあった。


「そんな……!」

「へ、ずいぶんと姿が変わっちまったな――」


 それの答えを先に口にしたのはアルナだ。

 ボクを庇うように立った彼は、どこか悲し気に彼女の名を口にする。




「エリオ・リーディン……!」







 宿の外、その遥か遠くからクリムは様子をうかがっていた。



「人間の魔族化――あの方の研究は、順調に進んでいますね」



 ニヤリ、口元を歪めて。

 彼女にとって、エリオがどうなろうと興味はない。

 ましてやクレファス家とリーディン家の諍いにも、興味はなかった。クリムの中にあるのは、ある一つの命令に対する忠義のみ。


 その対象とは、他でもない。



「もうすぐで、貴方様に汚名を着せた人間へ復讐できます。楽しみにしていてください――」



 クリムは静かに、しかし愛おしげにこう口にした。




「魔王様……!」――と。




 それはきっと、千年に渡る恩讐の果て。

 混沌渦巻く世界の裏側に、今でも存在するであろう闇。




「もうすぐです。もうすぐ、御身のそばに――!」




 クリムは甲高い笑い声を発しながら仮面を外す。

 そこから僅かに覗く深紅の瞳には、人間にはない狂気があった。


 


https://ncode.syosetu.com/n5248gk/

復讐ギャグです。

下記のリンクより。

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