3.強襲、そして背後にある闇。
あとがきより、新作も応援よろしくです。
_(:3 」∠)_
リィナから報告があったのは、二日後のことだった。
マリンが彼女の家に薬を取りに行っている間、ボクとアルナはそれの到着を宿で待つ。他愛のない話をしつつ、今後の動きについて相談もしていた。
そんな折だった。
「……いま、なにか物音がしたな」
アルナが、小さな声で言ってから外を警戒したのは。
あまりに鋭い声色に、ボクの気も引き締まる。もしかしたら、墓地で遭遇した魔族――クリムが現れたのかもしれない。
そう思ったのは、探った気配が人間離れしていたから。
おおよそ人間の持つものではない。
それこそ強力な魔物であったり、魔族と形容するのが正しい。
でも、どこかボクには違和感があって――。
「でも、待って。この気配って――」
もしかしたら、敵ではないかもしれない。
そう口にしようとした瞬間だ。
「クレオ、下がれ!!」
「なっ……!?」
激しい音を立てて、窓を突き破ってきた人物があった。
その【ヒト】は赤い髪をなびかせる。禍々しく黒化した右半身。右目はひどく充血しているようで、血の涙を流していた。
おおよそ人間らしからぬ姿をしている。
しかし、ボクはその人に見覚えがあった。
「そんな……!」
「へ、ずいぶんと姿が変わっちまったな――」
それの答えを先に口にしたのはアルナだ。
ボクを庇うように立った彼は、どこか悲し気に彼女の名を口にする。
「エリオ・リーディン……!」
◆
宿の外、その遥か遠くからクリムは様子をうかがっていた。
「人間の魔族化――あの方の研究は、順調に進んでいますね」
ニヤリ、口元を歪めて。
彼女にとって、エリオがどうなろうと興味はない。
ましてやクレファス家とリーディン家の諍いにも、興味はなかった。クリムの中にあるのは、ある一つの命令に対する忠義のみ。
その対象とは、他でもない。
「もうすぐで、貴方様に汚名を着せた人間へ復讐できます。楽しみにしていてください――」
クリムは静かに、しかし愛おしげにこう口にした。
「魔王様……!」――と。
それはきっと、千年に渡る恩讐の果て。
混沌渦巻く世界の裏側に、今でも存在するであろう闇。
「もうすぐです。もうすぐ、御身のそばに――!」
クリムは甲高い笑い声を発しながら仮面を外す。
そこから僅かに覗く深紅の瞳には、人間にはない狂気があった。
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復讐ギャグです。
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