4.好き勝手に生きて。
宿に戻ると、談話室にアルナの姿があった。
「アルナ、動いても大丈夫なの?」
「あぁ、平気だ。別に高熱でうなされているわけでもないしな」
ボクがソファーに腰掛けると、彼はどこか自嘲気味に笑って答える。
互いに向かい合って、無言の時間が続いた。だけど、それもアルナの一言で破られる。
「夢を見るんだ」
「夢……?」
訊き返すと、彼は頷いた。
「そう、夢だ。俺とエリオが、二人でお前を支える夢をな」
「ボクを、支える……?」
ついつい言葉を繰り返してしまう。
そんなボクに少年騎士はニヤリと笑って、こう言った。
「相変わらずだな、お前は。いまいち自覚がないってのも、それはそれでお前らしいから安心できるけどよ」
「自覚がないって、ボクは自分が強くはないことくらい分かってるよ」
「あぁ、そうだ。お前は決してエキスパートではない」
少しムッとしたのが伝わったのだろうか。
アルナはまた笑った。しかしすぐに真剣な表情になると、こう続けた。
「それでも、良いんだ。俺たちのリーダーになる奴は、そうやって多くの人間の価値が分かる奴でないと務まらない」
「リーダーって、ボクが?」
「前にも言っただろ、改革が始まったんだって」
改めて言われて思い出す。
そういえば、彼が最初にここへやってきた時に言っていた。
騎士団になんらかの働きかけを行っていること。そして、その先にあるのはボクの登用であるようなことを。
「でも、ボクは今さら戻れないよ。それに――」
「いいや、俺は今のままでも良いと思ってる」
「え……、それってどういう意味?」
断ろう。
そう思って口を開くと、彼は一つ息をついてから口にした。
その真意が分からずいると、アルナは――。
「お前は好き勝手に生きてくれればいい。好き勝手に救いたい奴を救って、自分の道を進んでくれればいい。きっとそれが、この国のためになる」
満面の笑みで、そう言うのだ。
「好き勝手に、生きる……」
ボクが冒険者になると決めた時、胸に抱いたものに近い。
その言葉は、胸の中にじんと響いた。
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