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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第19章

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3.独特な少女。








 ……えっと、リィナってこんな感じだったっけ?



「あの、スロバスナさん。久しぶ――」

「あっひゃああああああああああああああああああああああ!?」

「はいぃ!?」



 ボクが声をかけると、心底驚いたのか。

 リィナはこの世のものとは思えない悲鳴を上げた。

 そして椅子の影に、その小さな身体を隠すのである。こそっとこちらを見る黒の瞳には、なぜだろう。光があるようには思えなかった。



「あ、ああああ……」



 激しく動揺しているらしい。

 リィナは喉を震わせただけのような声を発して、ボクを見据えた。見かねた様子でマリンが仲裁に入ってくれる。



「クレオ、すみません。この子はずいぶんと内気なもので……」



 いや、これは内気とかのレベルではない。

 内心でツッコミを入れながらも、ボクは口を噤んだ。これ以上、なにかを言って彼女を刺激してはいけない。

 なによりも今は有事なのだから。

 とにもかくにも、アルナにかけられた呪いを解いてもらわなければ。



「リィナ、こんにちわですわ」

「い、ひひ……? シンデリウスの子?」

「はい、そうです。マリン・シンデリウスですわ」



 よく、平然と対話ができるなぁ……。

 ボクは感心しながら、会話の行く末を見守った。



「いま、お時間はありまして?」

「だいじょう、ぶ。ちょうど、惚れ薬ができた!」

「あら、そうですの? それはとても嬉しいですわ。でも――」



 ちらり、マリンはボクを見て首を左右に振った。



「いまは、それどころではありませんの」

「ひ、ひひ……?」



 首を傾げるリィナ。

 そんな彼女に、マリンはこう伝えた。



「アルナに、特殊な呪いがかけられました」――と。







「つ、つまり……? このままだと、クレファスくんの身が危険。今すぐに解呪する必要がある、ということか……!」

「話が早くて助かります」



 アルナの危機を伝えると、リィナはどこか張り切りだした。

 目の色を変えて――とまではいかないが、少なくとも表情は変わった気がする。ただどこかで、クレファスという名を口にするたびにニヤけている感じもした。


 その真意が、分からない。

 心理学で1位だったアキウスなら、読み解けたかもしれないけど……。



「分かった、クレファスくんのためなら協力する……!」



 そう考えていると、リィナは奇妙――もとい、独特な笑いをこぼしながらそう口にした。そして、高く積み上げられた本の中に、腕を突っ込む。

 ブツブツと言いながら、ケタケタと笑っていた。

 そんな女の子の姿に苦笑いしていると、マリンが声をかけてくる。



「少し変わった子ですが、実力はクレオもご存知と思います。安心して一度、宿へお帰りになってくださいますか?」

「え、良いけど。マリンは残るの?」

「はい。わたくしにも、少しばかり残る理由ができましたから」

「残る、理由……?」



 なにか、寒気がした。

 それでも今は、マリンの言うことに従った方が良いだろう。



「分かった、それじゃ……」




 なので、ボクはそう言ってその場を後にする。

 そして宿へと急ぐのだった。



 


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