1.リーディン家の役割。
ここから18章です。
「それで、いまエリオさんはどこにいるか分かるの?」
「分からない。それでも、思い当たる節はある」
「思い当たる節……?」
マキの治癒魔法での完治を待ってから、ボクとアルナは街に出向いた。
彼曰く、リーディン家には昔から大切にしている土地がある、という話だ。それが王都の中でも貧困街方面にあるのは、少し意外ではあった。
けれどアルナの情報以外に、手掛かりはない。
そのためボクは、あまり口を挟むことはなかった。
「でも、ここって……」
それでも、たどり着いた場所に思わず眉をひそめる。
何故ならそこは――。
「あぁ、そうだ」
「どうして、ここに……?」
朽ち果てた、今ではもう使われていない墓場だったのだから。
墓荒らしがあったのだろう。いくつかの墓石は、無残なまでに破壊されていた。手入れもされていなければ、誰にも覚えられていない。
そんな悲し気な空間だった。
「リーディン家は騎士の家系であると同時に、墓守の家系でもあったんだ。もっとも、魔王側についたことによって、押し付けられた役割だがな」
「…………そう、だったんだ」
「いくぞ、クレオ」
雑草の生い茂る、けもの道を進む。
アルナは短剣を使って、ツタなどを斬っていった。そして――。
「ここ、だな」
「アレクサンダー・リーディン――ここに眠る?」
立ち止まったのは、中でもひときわ大きな墓石の前。
刻まれた名前からして、それがエリオさんの祖先のものだと分かった。よく見れば、他のそれらよりも手入れがされている。
とはいっても、数年は放置されているに違いなかったが……。
「……少しばかり、気は引けるが。勘弁してくれよ、っと!」
「え、ちょ! アルナ!?」
そんなことを考えていると、突然にアルナは墓石に手をかけた。
そして、勢いよく墓を暴いたのだ。すると――。
「えっ……!」
次の瞬間、ボクは目を疑った。
だって、そこには……。
「地下通路、だって……!?」
まだ、使用されて間もないのだろう。
いくらか綺麗な階段が、続いていたのだから。
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