4.エリオの心、絶望。
17章はここで終わり。
あとがきに、新作情報あります。
「エリオさま、私のことを捨てたんですか……?」
「え、セナ。それって、いったい……」
エリオの前には、一人の獣人の少女が立ち尽くしていた。
手には、かんざし。それに視線を落とし、どこか寂しそうに口にするセナはうつむいたまま。エリオはそんな彼女を見て、慌てて駆け寄った。
そして細く小さな肩を掴み、相手に合わせて腰を落とす。
すると気づくのだ。
「あ……っ」
セナという少女が、おびただしい血の涙を流していたことに。
「エリオさまが、私を殺したんです。エリオさまにとって、私は使い勝手の良い駒にしか過ぎなかった。だから、思い出も手放せる……」
「ち、違う! そんなはずは――」
「それじゃあ、どうして?」
「――え?」
少女の言葉に、エリオはハッとする。
そして己の服の細部にまで手を回して、思い出を探った。
しかし――。
「失くした。そうですよね……?」
なかった。
肌身離さず持っていたはずの、思い出が。
「エリオさま? ――それじゃ、もう私はさよならです」
「セナ……!?」
その瞬間だった。
セナの姿が、変化する。
思わず彼女に手を伸ばしたエリオの手には――。
「あ――!」
カタナ、と呼ばれる刃物。
伸ばした手に握られた得物は、セナを深々と……。
◆
「セナっ……!?」
そこで、目が覚めた。
エリオは慌てて、かんざしを探す。しかし――。
「ご、めん。ごめん、セナぁ……!」
ない、ないのだ。
何よりも大切にしてきた思い出が。
薄暗い部屋の片隅で、エリオは力なくすすり泣いた。
絶望の中。
エリオの心は確実に、壊れていった。
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