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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第16章

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4.リナの記憶、終わり。







「お姉ちゃん! ご飯できたよ!」


 その日は突然に訪れた。

 すっかり自炊ができるようになったリナ。そんな彼女が、いつものように昼食を作り持ってきた時だった。リビングに姉の姿はなく、どこか閑散としている。

 少女は首を傾げて、姉のことを探し始めた。


「お姉ちゃん、どこ……?」


 外に出る。

 するとそこに立っていたのは姉と、もう一人――。



「だ、れ……?」



 黒服の、一言で表せば賊と思える男性だった。

 覆面で顔を隠し、得体が知れない。リナはその不気味さに震えた。

 しかしセナはどこか悟ったような表情を浮かべて、こちらに歩み寄ってくる。そして、リナの頭を撫でてふっと微笑むのだ。


「私ね、貴族様の家で奉公することになったの」

「え……? どうして、急に?」

「…………」


 困惑する妹。

 彼女のことを、無言で抱きしめる姉。

 何が起きているのかは分からない。だが、お別れのようだった。


「ごめんね、リナ。私、頑張ってくるから……」

「……お姉ちゃん?」


 残されたのは、そんな言葉。

 意味が分からない。もう、なにもかもが分からなかった。

 それでも、大好きな姉が頑張るといっている。それならリナは――。



「――うん! 頑張ってね、お姉ちゃん!!」



 笑顔で見送ることにした。

 別れは突然に訪れる。意味も分からずに、理由も告げずに。



 そして、月日を経て。

 リナのもとに帰ってきた姉の姿は、変わり果てたものだった――。





「本当に、それを――セナさんを殺したのがエリオさんだったの……?」

「分かりません。私には、なにも……ただ――」


 ボクの言葉に、リナは首を左右に振りながら。

 しかし悲しい目をして、言うのだった。



「あの人――エリオさんが、そう言ったんです」



 今にも泣きだしそうな声で。

 何が正しいのか、何が起きているのか分からないといった風に。

 リナは服をきゅっと掴み、唇を噛んだ。そして語るのだ。自分がこの王都を目指したのは、エリオさんがこちらへ向かったと聞いたからだ、と。



 そう、姉の仇を討つために――。



 それなのに、どうしてこうなったのだろうか。

 実際に出会った彼女は親切で、とても優しい女性だった。


「クレオさん、私はどうすれば良いんですか……?」


 リナはとうとうボクに答えを求める。

 そして、頭の中がぐしゃぐしゃになったのだろう。大粒の涙を流した。



「リナ……」



 ボクはそんな少女を見て、



「あれ、待ってよ?」



 ふと、気になることがあった。

 それはあまりにも単純で、不思議なこと。



「リナは、誰からエリオさんの行方を聞いたの?」――と。



 するとリナは、ハッとした。


「そういえば、あの人は――」




 そして、その人物の名を口にする。




「クラディオ、と――名乗りました」

「クラディオ……!?」



 ボクはその名を聞いて、眉をひそめた。

 何故ならその名前には聞き覚えがあったから。その人は――。




「リーディン家、最後の当主……!」




 何かが噛み合い始めた。

 しかし同時に、一つの因縁が動き始めたように感じられた。



 


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― 新着の感想 ―
[気になる点] リナの姉さんはセナなんですか?サナなんですか? この話数はずっとサナになってますが……
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