3.リナの記憶、始まり。
書籍化決定!
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「お姉ちゃん、みてみて!」
「どうしたの? リナ」
極東にある街――アルカ。
そこから少し離れた山の中に、ヴァーナの少女たちは住んでいた。
両親を幼くして失った姉妹は互いに力を合わせて、一生懸命に生きている。リナは二つ年上の姉――セナのことを心の底から、尊敬していた。
自分のために、森の木の実を集めて料理を振舞ってくれる。
「えへへ、これ! 花飾り!」
「へぇ、凄い! これ、リナ一人で作ったの?」
「うん、そうだよ!」
だから、せめてもの贈り物を。
リナは手作りの花冠を姉に手渡した。
これは、本当にささやかな暮らしを送る、姉妹の間に起きた出来事。
◆
ある日のことだった。
二人のもとに、一人の客人が現れたのは。
初老の男性。その人物は、どうやらセナに用事がある様子だった。
「お姉ちゃん……?」
リナはその男性と話を終えた姉に、不安げに声をかける。
するとセナは、どこか考え込んでからこう言った。
「ねぇ、リナ? 明日から、一緒にご飯作ろっか!」
「え……!?」
それは、意外なこと。
今までは火を扱うのは危ないからと、妹には何もさせなかったセナだ。
それが、どうしたというのだろうか。笑みを浮かべながら、そう提案してきた。あまりにも突然のことに、リナは一瞬だけ困惑するが――。
「……うん!」
姉に認めてもらいたい。
その一心で、元気いっぱいに頷くのだった。
だが、この時のリナは知らない。
これが悲劇の始まり、そのための準備だったのだとは。




