表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第14章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/211

3.獣人族の少女――リナ。






「助かってよかったね、えっと――」


 ひとまずの戦闘を終えて。

 ボクたちは、助けた獣人族の女の子と話していた。


「はい! 私の名前はリナといいます!」

「そっか。助けられて本当に良かった」


 リナと名乗った少女は、やや大げさに頭を下げる。

 獣人族の子の年齢はいまいち分からないけれど、見た目としてはマキと同い年ぐらいだろうか。小柄な身体に、少し大きめな弓を背負っている。瞳の色は金で、くりくりとした輝きが印象的だ。顔立ちはどことなく大人しい。


 矢筒の中身は空になっていた。

 おそらくは魔物に放って失くなってしまったのだろう。


「それにしても、どうして一人でこんな場所に?」

「あ、あはは。本当はもっと浅い階層で腕試しをしようと思っていたのですけど。迷っているうちに、どんどん奥に入ってしまった感じでして……」

「なるほど。迷子、というわけだな」


 リナの言葉に、少しだけ笑いながらキーンが言った。


「キーンさん、その言い方は少し意地悪です」


 するとそれにマキが、やや頬を膨らせながら反応する。

 同い年くらいの女の子が相手だからだろうか。キーンは思わぬ牽制に、少しだけおどけた表情を見せた。ボクは二人のやり取りを苦笑いしつつ聞いている。そうしていると、不意にエリオさんがこう提案してきた。


「クレオ。とりあえず、この子を街に連れて帰らないか?」

「そうですね。そうしましょうか」


 ボクはそれに賛成して、ひとまず来た道を戻ることにする。

 その途中で、道の端に光るものを見つけた。


「これは……?」

「あ、それは私のです!!」


 拾い上げると、それは特殊な髪留めのようで。

 即座にリナが声を上げた。どうやら、逃げ回っている間に彼女が落としたものらしい。手渡すと少女はホッとした表情で、それをポケットの中に仕舞い込む。

 目を細めて見つめる様子から、とても大切な品だというのが分かった。


「危なかった。これ、お姉ちゃんの形見なんです」

「……そっか。見つけられて良かったね」

「はい! ありがとうございます!」


 見つめていると、リナはそう話してくれる。

 それなら、なおのことここで発見できてよかった。

 ボクは「次は落とさないようにね」と、一言かけてから歩き出す。






「姉の、形見……」





 他のメンバーも、気にしない様子でついてきた。

 だから気づかなかった。




「そうか。彼女は、あの子の……」




 エリオさんだけが、しばしその場に立ち尽くしていたことを。



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ