4.未来への展望。
「それは良い話ではないですか? 私としては、クレオさんの力が認められて嬉しい限りです」
「えっと、僕もそう思います!」
「そ、そうなのかな……?」
ひとまず宿にきたキーンとマキに、事の次第を説明する。
すると意外にも、彼らはアルナの提案に肯定的だった。あっさりと頷いて、判断しかねているボクに向かってこう言うのだ。
「おそらくですが、クレオさんのことを認めていないのは一部の人と――クレオさん自身なのではないですかね? 少なくとも私たちパーティーメンバーは、貴方のことを支持していますから」
「僕たちがこのパーティーにいるのは、クレオさんがいるからなのです! クレオさんじゃなきゃ、たぶん一緒にいないと思います」
「う、あ……?」
なんとも小恥ずかしい発言をさらりと。
思わず顔を赤らめてしまった。返答ができず、瞬きを繰り返す。
でも今回のことは、やはり一人では決められないだろう。それにボクがアルナの方へ行くということは、このパーティーを離れるということ。
「……だけど、それだったら余計に放り出せないよ」
それを考えると、自然にそんな言葉が出ていた。
こんなふうに自分のことを認め、必要としてくれる人たちから離れるなんてできない。ボクにはボクなりに、責任があるように思われた。
だがしかし、そんなこちらに二人はまた言うのだ。
「大丈夫ですよ、クレオさん」
「はいです!」
目を合わせて頷き、代表してキーンが。
「私たちは、私たちが認めた人が必要とされるのなら、それ以上に嬉しいことはありませんから。なんだったら、いつかは追いついてみせようという、励みになりますよ」――と。
曇りなき笑顔で。
マキも、いつもより明るい表情になった。
「二人とも……」
「きっと、エリオも同じ意見なのではないですかね」
手元にあったお茶を啜りながら、ふとこの場に居合わせないもう一人の仲間の名を口にするキーン。そう言われて、ボクもあることを思うのだった。
窓の外を見て、ずいぶん暗くなっていることを確認する。
「そういえば、今日はエリオさん遅いね」
それはきっと、何気ない一言だった。
珍しいこともあるものだ、と。
「雨、降ってきそうですね?」
マキは空を見て、そう言う。
見れば、たしかにそこには分厚い雲がかかり始めていた。