2.エリオの見る、束の間の夢。
遅くなりました……!
言い訳は、あとがきで!!!( ;∀;)
――エリオの胸の中には、忘れられない存在があった。
それは一人の少女。ヴァーナと呼ばれる獣人族の女の子の笑顔だった。
栗色の髪に、紺碧の瞳。幼い顔立ちの割に、彼女よりもどこか年上染みた振る舞いをすることのあった少女だった。
「なぁ、セナ? 一つだけ、訊いてもいいかな」
曇りなき夜空を見上げ、身を寄せ合いながら。
エリオは少女――セナに問いかけた。対して少女は、どこかうっとりとした表情で頷く。瞳に映るのは、煌めく星々だ。
そして、簡単に結われた髪に飾られたのは、貝殻のかんざし。
これはある日、エリオと街を歩いていた時に購入した、お揃いの品だった。
「アタシたち、いつかきっと自由になれるよね……?」
カランと、小波とはまた異なる音色を奏でたかんざし。
その音に重なるようにして、エリオは自信なさげにそう訊ねるのだった。
身に着けるのは、お世辞にも綺麗とは言えない衣服。ところどころ破れており、継ぎ接ぎだらけになっていた。生活の困窮以外にも要因はあった。
それらを含めて、彼女はセナに問いかけたのだ。
「大丈夫ですよ、エリオさま」
元々は給仕であるセナ。
そんな少女は丁寧な、しかし同時に親密な口調で断言した。
「貴女はいつか、抜け出せます。そう――」
ゆっくりと、目を閉じて。
「今はちょっとだけ、悪い夢を見ているだけなのですから……」
それは、本当に何気のない夜の出来事。
だけどエリオにとってはかけがえのない、大切な出来事。
「あぁ、そうだな。でも――」
だから、ちょっとだけ希望を見るのだ。
そっと心を寄せて……。
「こんな夢なら、もう少しだけ見ていたいものだ……」――と。
めっちゃ遅くなり申し訳ございません!!
年末年始で思い切り体調を崩してしまい、復帰まで時間がかかりました!!!!!
少しずつ更新していきたいと思いますので、なにとぞ!!!!!!!