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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第12章

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2.最高の剣士からの誘い。








 それは、ある日のことだ。

 久々に休日として、ボクたちパーティーメンバーは各々に外出をしていた。マキはマリンとゴウンさん、二人と食事へ。キーンは勉強があるとか。そしてエリオさんは、王都の外れにある滝の近くで鍛錬をすると言っていた。


「ボクはなにをしようかなぁ……?」


 残されたボクは宿の談話室で椅子に腰かけ、ボンヤリと天井を見上げている。

 毎日クエストをこなして、それが楽しくて仕方がなかった。だから、一人での余暇の過ごし方というものを考えていなかった。

 趣味がないわけではないけれど、かといってという感じもする。

 なにか起こらないかな、と。そう考えていた時だった。



「へ……。久しぶりだな、クレオ」

「…………え?」



 ボクの名を呼ぶ人があったのは。

 その声は、とても馴染み深くて懐かしいもの。

 そして学園生時代には、毎日のように聞いていた声だった。


「アルナ……?」

「おう。やっぱり、この宿だったんだな」


 ニッと、悪戯っぽい笑みを浮かべた少年――アルナ。

 騎士団で支給されている衣服を着崩して、大股でこちらへ歩み寄ってきた。


「どうして、ここに?」

「少しばかり用があってな。隣、いいか?」

「あ、うん。いいよ」


 そして、軽く言葉を交わすと隣に座る。

 態度は大きく足を組んで、欠伸をしながら身体を後方に反らせた。こういうところは、昔から変わっていない。作法というものに疎い、というよりも興味がないのだ。それでも周囲に受け入れられているのは、それを黙らせる能力と、努力によるもの。


 アルナ――ボクが目標とした剣士。

 以前とまったく変わらない様子でいる彼に、ボクは自然と頬が緩んだ。


「それで、単刀直入に話してもいいか?」

「ん? どうしたの、アルナ」


 そうしていると、不意に少年はそう言った。

 どうしたのかと首を傾げると、こちらを見てから彼は微笑んだ。そして――。



「改革は、始まった」



 似つかわしくない真剣な声で、こう口にした。




「クレオ――お前に、騎士団の団長になってほしい」――と。




 嘘偽りなく。

 迷いもなく。


 ただ、心から願っているといった風に。

 アルナはボクに向かって、そう告げるのだった。


「え……?」


 でもボクは、その申し出の意図を理解できない。

 どうしてボクなのか、それが分からなかった。


「今までのガリアでは、特出した能力のみを重視してきた。騎士団や王宮魔法使い、それ以外にも色々な部署でその気質があった」



 そんなこちらに、アルナは語る。



「でも、それは大きな間違いだ。それでは本当の才能を潰してしまい、画一的な組織しか作りだせない。もっと大きな、それを統括する存在が必要だ」



 ――だから、と。

 彼は、こちらをまっすぐ見つめてこう言った。



「その手始めに、一緒に騎士団を変えてほしいんだ。――クレオ」



 曇りなき眼で。

 アルナは、そう訴えかけてきた。



「俺が、クレオのことをもっと上に押し上げる」――と。




 それは、一つの大きな決断。

 降って湧いた、成功への道筋だった。


 


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 零下30度・風速50メートルの北風が、摂氏20度・風速0.5メートルの南風…になったかのような、かなりの風の変わり方ですね。それだけに…むしろ不安な気持ちにしかならないんですが、ハイ……
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