表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第11章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/211

1.くすぶり続ける呪い。






『お前のせいで、一族は潰えてしまったのだ』

『お前の責任だ。どうしてくれる』

『お前のせいで……』


 ――大の大人が、寄ってたかって一人の少女を追い詰める。

 その光景は傍から見れば、異様としか言いようがなかっただろう。だがそれでも、少なくとも、その時の彼女にとっては当然の報いであった。

 自分のせいで、貴族であった家は没落したのだから。


 自分が、あの決闘で敗れたせいで。

 自分が、あの決闘で――。


『ごめんなさい、ごめんなさい……!』


 ひどい暴力を受け続けた。

 我が子とは思っていないに違いない。

 父親からも、母親からも見捨てられて、少女はただうずくまっていた。誰も助けてなどくれない。それにこれは、当然の報いなのだから。

 だから、仕方がない。

 仕方がないのだ。


 自分が悪いのだから。

 それできっと、みんなが納得するだろう。




『ころ、して……』




 ただ、無自覚にそう呟いていたこと。

 それ自体を彼女は、自分でも知ることはなかった。



◆◇◆



 エリオは宿の一室で目を覚ました。

 ずいぶんと、暗い夢を見ていた気がする。

 そうでなくては、このような寝汗をかくはずがない。


「あぁ、もうこんな時間か」


 身を起こして、彼女はストレッチを開始した。

 窓の外には朝日が顔を出している。この時間には決まって、彼女は軽い鍛錬を行うことにしていた。もう何年も前から続けてきた、ルーティン、というやつだ。

 やらないと気分が悪い。

 そう、自分は強くならないと――。


「…………」


 そこまで考えて、エリオは剣に伸ばした手を止めた。

 自分はどうして強くなろうとしているのか、ふと考えたのだ。しばしの間、思考を巡らせる。だがそれでも答えは出てこなかった。


「愚問だな。アタシがそうしたいから、に決まっている」


 そして、最後にそう結論付けた。

 だが彼女は知らなかった。



 その結論がいかに、呪われているのか、を。

 その呪いが、クレオとの出会いをもってしても解けていないことを……。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 決闘で負けた少女の話。気になってましたが、話が出そうですね。 剣士の話が出るから出てくると思ってました。王女といい、まだまだ楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ