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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第10章

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3.アルナの微笑み。






「それで? 相変わらず、クレオの親父は迷走中か」

「そうですね。時々に確認しに行ってますが、最近では灰のようになっています」


 紅茶を飲みながら、アルナとリリアナはそんな会話をしていた。

 クレオの父親――ダン・ファーシードは、クレオ捜索に多額の資金を投じたようで、家計が火の車になっているらしい。それでも見つけられないのは、やはり彼がボンクラ、という証明だった。

 一つため息をつきながら、リリアナはアルナにこう訊く。


「それで、その話は本当なのですね?」

「間違いない。マリンの親父が死んでから、少しばかり騎士団で調査をすることがあってな。そうしたら、クレオの関与が判明した」

「はぁ……。灯台下暗し、とはこのことですね」

「というか、クレオの親父もまずは王都を探せばいいのにな」

「本当、その通りです。彼に任せた私に責任がありますね」


 そう言って、しかし反省の色を見せずに。

 リリアナはもう一口、紅茶を口に含むのだった。


「お任せして、良いのですね?」


 それが、気持ちを切り替える合図だったのだろうか。

 リリアナは馴染みの騎士に向かって、真剣な眼差しでそう訊いた。すると相手は、ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべて答える。

 そこにあったのは、何かを楽しみにする無邪気な子供の顔だ。


「あぁ、任せてくれ。どうやら、少しばかり懐かしい奴にも会えそうだからな」

「懐かしい、奴……?」


 アルナの言葉に、王女はほんの少しだけ怪訝な表情を浮かべる。

 だがそれも気にせず、少年騎士は紅茶を一気に飲み干して立ち上がるのだった。



「あぁ、アレからずいぶん経った。そろそろ、再戦したいと思ってたんだよ」



 傍らに置いてあった、鞘に入った剣を持ち。

 アルナは、心底嬉しそうに笑った。


「なにかは聞きませんが、あまり遊ばないでくださいね?」

「分かってるさ。でも、悪いけど――」



 そして、扉の前まで歩いてから。

 リリアナの方へと振り返って、彼はこう言うのだった。



「もしかしたら、ちょっとだけ問題が起こるかもしれない」――と。



 無邪気な表情で。

 それを見たリリアナは、呆れたように肩をすくめる。

 そして同時に、諦めたようなため息をつくのだった。


 


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― 新着の感想 ―
[一言] 王女に所謂ビッチぽい。
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