表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第8章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/211

5.消えぬ、カオンの劣等感。






「この少年――たしか、ファーシードの子供だったか」


 カオンは眉をひそめながら、そう確かめるように漏らした。

 目の前ではクレオが暗殺部隊に対して、圧倒的な戦闘力を見せつけている。おそらくは身体強化の魔法の類だろう。速度や力、その他の能力の高まりが感じられた。元より高い身体能力を誇っていたのだろうが、そこに魔法の才も加われば、鬼に金棒だ。


 だが、カオンにとってはそれ以外に思うところがあった。

 それは彼のいた家のこと。


「ファーシード……! 私を見下した、ダンの息子……!!」


 そして何よりも、宴の席で彼の父親に言われたことであった。

 カオンにとっては忘れもしない、シンデリウスの当主に上り詰めた際の出来事。ついに憎きゴウンを追放した次の日の夜、彼は他の貴族に会いに行った。

 その時だった。

 唯一、ダンのみが彼を見てこう言ったのは。



『ふん……。穢れた一族の末裔が、ついに途絶えるか』――と。



 頭を垂れて挨拶したカオンにかけられた、侮蔑の一言。

 それは、著しく彼の自尊心を傷つけた。


「忘れない。忘れないぞ……!」


 クレオの廃嫡が決まり、その判断で王家に見放されているダンを見て、多少ながらも溜飲は下がった。だが、それでも傷は消えない。

 その子である少年を見ると、嫌でもあの日のことがちらつくのだ。

 自分を嘲笑ったあの無能な公爵の、間抜けな顔が……!


「さぁ……。野心の欠片もない、あの愚かな公爵の息子よ! ここまで来い、今こそ私が真なる強者であることを、王都に知らしめてみせよう!!」


 間もなく、暗殺部隊は片付く。

 それを楽しげに待ちながら、カオンはそう言った。




 私怨に満ちたその歪んだ表情。

 それは、もしかしたら誰でも至る可能性のあるそれだったのかもしれない。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ