4.中庭にて。
マリンの家は、富裕層の住まう地区の少し外れにあった。
今まで気にしたことはなかったけど、それも彼女の家の成り立ちからくるもの、なのかもしれない。しかしいまはそんなことどうでもいい。
ボクとマキ、そしてゴウンさんは装備を整えて最後の直線を駆けていた。
「ゴウンさん、傷は大丈夫ですか?」
「今さらそんなこと、気にすんじゃねぇよ。それに大丈夫だとか、そんなレベルの話じゃねぇ――これは、俺が行かなきゃならねぇ戦いだ」
「…………分かりました」
その最中に、ボクはゴウンさんに声をかける。
すると彼は鋭い口調で、そう答えた。
「それよりも、どうやら敵さんのお出ましのようだぜ……?」
そして、不意に足を止めてそう口にする。
ボクとマキもそれにならって止まり、周囲に注意を払った。現在地はマリンの家の中庭。ここまであまりに無警戒に進めたのは、誘い込まれていたということか。
分かったのは周囲の木々や建物の陰に、人の気配がするということ。
おそらくは、シンデリウスの暗殺部隊だった。
「………………」
ボクはその数を確認してから、ゴウンさんにこう伝える。
「マキを連れて、先に行ってください」――と。
すると彼は、少し驚いたような顔をした。
「おい、クレオ。さすがにこの数は……!」
「大丈夫ですよ、ゴウンさん。だって、ボクは――」
それに対して、こちらは笑って答える。
「どんな戦況下の実戦でも、2位だったんですから!」
◆
ゴウンさんが先に行って、ボクは中庭で立ち尽くしていた。
そして改めて暗殺部隊の数を確認する。ザッと見積もっても千人弱、といったところだった。少しばかりキツイかな、とも思ったけれどやるしかない。
「それじゃ――」
言って、全身に魔力を巡らせた。
そうすることで身体能力の向上により、指先まで感覚が澄み渡っていく。五感も鋭く変化し、どこに何人の敵が隠れているのかが分かった。
拳を握り締め、一つ大きく深呼吸をする。
そして、声を張り上げて宣言した。
「――始めようか!!」




