表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/211

1.非常事態。







「きょ、今日はクレオも来るのですね!」

「ごめんね、突然に押しかける形になっちゃって」

「全然大丈夫なのですよ! きっと、お父さんも喜んでくれるです!」


 怪しい声の主と遭遇した翌日。

 クエストを終えたボクとマリン、そしてマキの三人はオルザール宅を目指していた。本来ならば帰省の日ではないのだが、あのようなことがあったのだ。

 警戒しておくに越したことはない。

 ボク程度の力でも、ないよりはマシというところだった。


「エリオさんとキーンも連れてきたかったけど、大人数になるとゴウンさんに迷惑がかかるかもだし。その辺は仕方ないかなぁ……」


 事情を説明した上で、戦力を整えようとも考えた。

 しかしながら、不用意に危機感を煽るのも悪いと考えたのである。そのため今回は二人の参加はなし。マリンたちのことは、ボクとゴウンさんで守らなければならなかった。


「どうしたですか? クレオさん、ずっと難しい顔してるです」

「え、あぁ……。大丈夫、なんでもないよ」


 考え込んでいると、マキがこちらを覗きこんでくる。

 ボクは急に現われた円らな瞳に驚くが、すぐに切り替えて少女の頭を撫でた。


「それにしても、二人はずいぶん仲が良くなったんだね」


 そして、大きく話題を変えることにする。

 もうすぐでオルザール宅に到着するのだが、その場を繋ぐためだ。


「えぇ、そうですわね。わたくしとマキには、共通点がありますの」

「へぇ~! 共通点、か」


 ボクがそう答えると、マキがマリンの言葉を引き継ぐ。


「ですね! ――もっとも、それをクレオさんに話すわけにはいかないですけど」

「え、どうして……?」


 その言葉に、ボクは首を傾げた。

 すると二人の少女は互いに顔を見合わせ、呆れたように首を左右に振る。


「気付かないのは、クレオらしいですわ」

「ですね。これは、苦労するです」

「え……、え?」


 ボクは頭の上に疑問符を浮かべ、彼女たちの表情を見た。

 しかし結局、答えは与えられず仕舞い。そうこうしているうちに、ボクたちは目的地に辿り着くのだった。


「あれ、お父さんはまだ帰ってないみたいです」


 玄関の施錠を確認して、マキがそう言う。

 彼女曰く、ゴウンさんはいつもなら昼過ぎに帰宅しているはずとのこと。しかし、今日はどういったわけか、その様子が見受けられなかった。


 少しだけ、嫌な予感がする。

 しかし杞憂だと、そう自分に言い聞かせた。だが――。



「…………クレオ」



 次の瞬間に背後から聞こえた声に、息を呑んだ。

 振り返るとそこには、ゴウンさんの姿。

 しかし――。



「お父さん!?」

「ゴウンさん!?」



 ボクとマキは即座に駆け寄る。

 何故なら、目の前に現われた彼は――。



「すぐに、逃げろ……!」




 全身から、おびただしい量の血を流し。

 息も絶え絶えに、そう口にしていたのだから。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ