13.英雄の力。
久々の更新です(*'▽')ノ
あとがきの新作も応援よろしくです。
「……クレオ?」
リリアナはただ呆然と、彼の凄まじい動きに圧倒されていた。
いや、それは決して彼女だけではない。キーンもまたその一人であり、目の前で起こっていることが信じられない、といった表情を浮かべていた。
クレオの身体能力や魔力量は、どれだけ多く見積もってもドルニクの半分に足るかどうか。しかし、それがどうしたというのか。少年から漂う雰囲気でさえ、先ほどとは大きく異なっていた。大地が揺れ、空気が肌を裂くように張り詰めてくる。
「いったい、これは……?」
王女は幼馴染みのそんな様子を目の当たりにして、息を呑むしかできなかった。
彼の力を侮ったことなどない。それどころか自分は周囲の誰よりも、彼を評価し、彼のことを信じてきたつもりだった。だが、いま目の前にいるクレオに対してリリアナが抱く感情は『畏怖』に近い。
畏敬の念のようなものを感じざるを得ない。
それ程までに、いまのクレオは『規格外』と言わざるを得なかった。
「これが――『覚醒』か」
「『覚醒』……?」
その中で唯一、事態の把握をしているのはエスカリーテ。
いや、正確に言えば彼女の中に棲みついている魔族、ということか。彼女は笑うしかないといった様子で口角を上げながら、ドルニクに相対するクレオを見つめていた。
そして、震える声でリリアナに告げる。
「見ておくといいさ。アレが伝説に語られる『英雄様の力』だからさ」――と。
◆
「あァ? さっきまでの逃げるしかない雑魚、とは違うのか」
「悪いですけど、細かいことはボクにも分からないんです」
ドルニクの問いに、こちらは素直に言葉を返す。
結局のところ声の主の正体も、この力の出所も不明のまま。ただ大切な人を守れるのであれば、ボクはそれを受け入れると決めた。その覚悟を決めたのだ。
不安がないわけではない。
それでもただ、一つ確信を持てることはあった。
「それでも、これなら――」
腰を低く構えて。
ボクは嬉しそうに笑う敵の姿を見据えた。そして、
「大切なものは失わずに、済みそうです……!」
一気にドルニクへ肉薄する。
大地を強く蹴って、ただ一直線に、小細工なしに奴の顔面へ拳を叩きつけた。回避なんてできない速度で、ボクは渾身の一撃を放つ。
そしてドルニクにとってもそれは、予想だにしないものだったらしい。
「ぐ、おおおおおおおおおおォォォォォォォ!?」
――響き渡る苦悶の声。
その瞬間に、ボクは勝利を確信した。
https://ncode.syosetu.com/n9764lg/
ハイファン新作です。
下記のリンクから飛べますので、少しでも面白い、と思っていただけたら。
ぜひ、気軽に★評価など。
励みになります。
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。
創作の励みとなります!
応援よろしくお願いします!!




