12.極限まで研ぎ澄まして。
あとがきの新作もよろしくです(*'▽')
「オラァ!? どうしたんだよ、こいよ雑魚がァ!!」
「…………!」
――全身に力が漲ってくる。
だけどまだ、制御し切るには時間が必要だった。この力の出どころ自体に疑問は残るけど、この魔族ドルニクを退けるためには頼るしかない。
そして先ほどから耳に届くのは、
「あと、どれくらい必要ですか……!?」
『焦るな。繋がってから間もない中で急いては、四肢が弾け飛ぶぞ』
「……そうです、か!!」
頭の中に響く、謎の人物の声。
男性らしいそれはボクの魔力制御を補助するように、そう何度も言い聞かせてきた。普通なら疑ってかかる場面だけど、みんなを守るためには四の五の言っていられない。
それにどういうわけか、彼の言葉はすんなりと受け入れられた。
訊きたいことは山ほどあるけれど、少なくとも敵対する者ではないのは確かだ。
『いいか、クレオ。あと十数分は稼げ。そうすれば、全力を出せる』
「だったら、合図を送ってください。……それまで、しのぎます」
『承知した。繰り返すが、焦るなよ?』
「…………はい」
圧倒的な格上であるドルニクを相手取るのに、いまの状態では不十分。
先ほどよりは万倍マシだけど、声の主が言う『全力』がどの程度のものなのか。その一撃に賭けるしかない、という状況不利は変わりようがなかった。
それに、この瘴気の中だ。
あまり戦況を長引かせれば、この集落に住まうエルフたちへの被害が計り知れない。気持ちばかりが急いてくるのを必死に押し留めて、ボクはドルニクの動きに注視した。
「さっきから、何ブツブツいってんだァ? テメェ!!」
「悪いですけど、それはボクにも分からないです……!」
振り下ろされる一撃を躱し、さらには砕ける大地の隆起からも回避する。
先ほどから相手の動きは苛立ちに満ちてきていた。どうやらこの魔族、基本的には猪突猛進な性格をしているらしい。数段上の速度であるために気が回らなかったが、この単調さなら対応できる。
ただ油断は大敵。
一度互いに間合いを測った際に立ち止まり、乱れた呼吸を軽く整えた。すると、
「あァ、しゃらくせェ!! おい、そろそろ本気で行くぞ!?」
ドルニクはそう叫んで、身構える。
膨れ上がる魔力を感じ取って、ボクは思わず舌を打った。
「くそ……!」
――まだか。
あと、どれくらいなのか。
ボクの気持ちはどうしようもなく急いて、いまにも駆け出しそうになる。それを必死になって堪えながら、ドルニクの動きを計っていた。
その時だ。
『――待たせたな。行くぞ』
頭の中に、あの声が聞こえたのは。
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