11.ただ諦めが悪いだけ。
あとがきの新作、よろしくです。
「さァて、そろそろ順番になぶり殺していくとするかァ!?」
ドルニクはクレオを仕留めたと思い、次に取り掛かろうと口角を歪めた。
目の前にいるのは、三人。男一人に女が二人。小さい女の方には自分と似た空気を感じるが、敵意を持っているのなら生かす意味なかった。そして、この中で最も戦力が高いのは、
「次はお前だァ……!」
「ぐ、う……!?」
当然ながら、狙われるのはリリアナ。
魔力を使い果たした彼女は片膝をつきながら、自身の何倍もある大きさの魔族を睨み上げた。肩で息をしているが、彼女の闘争心はまだ消えていない。
そのことに、ドルニクは嬉しそうに笑った。
「いいぜェ? オレサマは、気の強い女が好きだからなァ!?」
そして、彼女へ向けて手を伸ばそうとした瞬間。
「あん……?」
微弱だが、何らかの障壁によって防がれた。
魔力の流れを辿ってみると、そこにいたのは息も絶え絶えに防御魔法を行使するキーン。彼は残り僅かな魔力を振り絞って、王女を守ろうとしたのだった。
彼の目にもまた、諦めの色はない。
そして、
「クレオさんのためにも、その方にだけは……手出しさせ、ない……!」
血の混じった唾を吐きながら、そう訴えた。
その姿にドルニクは、リリアナに抱いた感情と別のものを覚える。
「うるせェな、オレサマは――」
大木のような腕を振り上げ、こう言うのだった。
「諦めの悪い野郎は、大嫌いなんだァ!!」――と。
そして、回避のしようがない一撃を。
キーンの頭部目がけて、振り下ろそうとした時だった。
「あァ……?」
ドルニクの振り上げた腕が、肘から先を両断されたのは。
血が噴き出しながら、切り離された部分が後方に落ちるのが聞こえた。彼はそれを肩越しに確認し、それをもたらした相手の方を見て言う。そう――。
「内臓を残らず潰したと思ったんだが、なァ……?」
「…………悪いけど、生きてるみたいだね」
――クレオに向かって。
ドルニクの言葉に、少年は肩で息をしながらも鋭い眼差しを向けていた。額から流れ落ちる血を拭うこともせず、彼は右の腕を魔族へ。
そこには微かに、魔力の残滓があるのをドルニクは確認した。
信じがたいことだが先ほどの攻撃は、あの少年が放ったものらしい。
「ほう……そうなると、どういうことだァ?」
「ボクもキーンと同じだ。ただ、ひたすらに――」
その意味を問いかけると、クレオは微かな笑みを浮かべて答えた。
「諦めが悪くて、仕方がない……ってことさ」――と。
それを聞いたドルニクは、直後に大きな声で笑い。
そして、こう叫ぶのだ。
「だったら、いますぐ無残に死に晒しやがれェェェェェェェェェ!!」
https://ncode.syosetu.com/n2139lb/
ハイファン新作です。
下記のリンクから飛べますので、少しでも面白い、と思っていただけたら。
ぜひ、気軽に★評価など。
励みになります。
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。
創作の励みとなります!
応援よろしくお願いします!!




