8.弱者の戦い方。
あとがきより、本日開始した新作に飛べるリンクあります。
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「魔族の、四天王……ドルニク・オルディン?」
「あァ、そうだ! オレサマは魔族のトップ四人が一人、すなわち――」
魔族ドルニクは、哄笑を上げながらこう言った。
「最強の一角、ってことだァ!」
「く……!?」
その直後に、森の空気全体が明らかに重くなるのを感じる。
膝に力を入れていないと、立っていられないほど。ボクは他のみんなが大丈夫かを肩越しに確認するが、どうやら各々にどうにか堪えているらしい。エスカリーテが無事なのは意外だったけど、それでも治癒担当が残ってくれるのはありがたかった。
そうであれば、ボクも前だけを見て戦える。
「ほう……面白れェじゃねェか。オレサマの気を当てられて、ぶっ倒れねェなんてよ? 人間は弱体化の一途をたどってる、とか聞いてたが、嬉しい誤算だなァ!!」
だが勝算があるかは、また分からなかった。
それとこれとは別問題だろう。少なくとも戦えるだけで、みんなの力が通用するかは分からない。それこそ以前に戦ったオドのように、規格外の傑物というのは存在していた。
仮にあの時のみたいに、ボクの身に何か起これば別だけど……。
「もしも、の可能性に賭けるなんて、クレオらしくないですよ?」
「……リリアナ」
すると、そんな弱気を見抜いたのか。
幼馴染みの王女は静かに言うと、ふっと小さく呼吸を整えた。そして、
「戦力的に、こちらが負けているのは明らかです。それでも、そのことを理解しているのであれば、戦い方はあるでしょう?」
「……あぁ、そうだね」
そのアドバイスに、ボクはようやく冷静になる。
そうだ。こういう時の戦い方、つまり逆転の可能性はまだある。
個々の力で敵わないのであれば、それらを集めて一つにしてしまえば――。
「――みんな、ボクの作戦を聞いてほしい」
そう考えて、覚悟を決めた。
あの魔族を退けるには、この手しかないだろうから。
◆
「さァて? そろそろ、おっぱじめるとする――――あ?」
ドルニクは相手の様子をうかがいながら、いよいよ戦闘態勢に移ろうとした。
だが、それよりも先に動いたのは――。
「喰らえ……『エクスプロード』ッ!!」
クレオだった。
彼は詠唱を破棄した爆裂魔法をドルニクへ放った。
しかし詠唱を省略している故に、魔法の威力は半減以下と考えて良い。ドルニクは足元に着弾したそれを容易く回避し、巻き上がった土煙に顔をしかめた。
時間稼ぎのつもり、あるいは逃げるためか。
いずれにせよ、ドルニクにとっては拍子抜けだった。だが、
「…………おォ、なんだァ?」
煙が晴れた後、視界に入った光景に。
「はっ……! そういうことかァ?」
一ヶ所に集合している相手を見て、彼は歓喜に口角を歪めたのだった。
戦力に劣る側に取れる手段は、限られている。
そう、例えば――。
「――初撃必殺! いいぜェ、こいよ現代の人間たちよォ!?」
ドルニクはそう叫んで、迎撃姿勢を取る。
そして、リリアナを中心とした陣形から眩い光が放たれた――!!
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