7.襲撃。
あとがきより、本日開始した新作に飛べるリンクあります。
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「穢れ、ですか……?」
「その通りだ。おそらくキーン、そしてアリアのような若い者には分からないだろう。奴らは想像以上に上手く擬態した上で、人間の営みに潜り込むからな」
「…………」
長の言葉に、キーンは思わず黙り込む。
それはもちろんクレオの妹、エスカリーテの中に入り込んでいる魔族がいることを知っているから。ただ彼が信じているその魔族は、卑怯な真似はできない性格のはずだった。当然ながらあの夜の会話だけで、すべてを理解したわけではない。
それに青年は、その魔族から特別な情報を得ていた。
「人魔戦争……」
「……ふむ、キーンよ。どうしてお前が、いまその単語を出す」
「キーン……?」
ものは試しと、キーンはその言葉を口にしてみる。
すると長は眉をひそめて反応し、事情を知らないであろうアリアは首を傾げた。ただいずれにせよ、まだ話し合いや、事実や情報の擦り合わせは可能らしい。
そう考えた彼は大きく息をついてから、意を決して長にこう訊ねた。
「無礼は承知でうかがいます。長、教えていただきたいことが――」
だが、その時だ。
「大変です、長! 森に瘴気が!?」
「なに……!?」
一人のエルフが血相を変えて飛び込み、そう声を上げたのは。
長はそのことにほんの少しの驚きを見せた後、キーンとアリアに告げた。
「すまないが、話はまた次の機会だな。客人にも協力を仰ごう」
◆
「瘴気、ですか……!?」
瘴気というのは、魔族の領域に多く存在する毒のようなもの。
少なくとも人体に好影響はなく、森の妖精であるエルフにとっては紛うことなき猛毒だった。キーンとアリアさんからの報告を受けて、急いで外に出るとそこには――。
「く、これは……!!」
力なく倒れるエルフの戦士たち。
彼らは各々に抵抗しながらも、やがてゆっくりと意識を奪われていった。残っているのは屋内に退避しているであろう長たちと、アリアさん。
そしてどういうわけか、キーンだけは顔をしかめる程度で済んでいた。
ボクらはそんな周囲の様子を確認しながら、敵の気配を探る。
すると、
「がっははははははははは! なんとも呆気ねぇぜェ!?」
森に響いたのは、そんな男の哄笑だった。
各々に武器を構えると、そのタイミングで木々の間から一人の男が姿を現す。
「こんなことなら、四天王のオレサマが出る必要はなかったなァ?」
全身が凶器のように、鍛え上げられた肉体。
肩口から腕先までは獣の毛のようなものが生えており、おおよそ人間の類ではないのは明らかだった。豪快な口調に相応しく、強面な顔に鋭い牙。側頭部には猛牛を思わせる角が二本あった。――四天王という言葉を考えれば、この男は間違いない。
「魔族、か……?」
「……あァん? そうだなァ、自己紹介しとくかァ!!」
こちらの声に、その魔族は口角を歪めながら頷いた。
そして大きな笑い声を響かせてから、堂々と名乗りを上げるのだ。
「オレサマの名は、ドルニク・オルディン! 憶えておきやがれ!」――と。
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